(4) 作業船運行管理情報システムへの適用性
以上、3通りのシステム形態を述べたが、それぞれのネットワーク規模、データ管理方法、同時ユーザアクセス数、開発コスト、導入コスト、システムのパフォーマンス、データ転送量等についての比較を表2-8にまとめた。
ここで、作業船運行管理情報システムについての必須項目として、現場事務所〜作業船間における無線通信でのデータのやりとりがあげられる。現時点での無線通信のデータ転送速度は2400〜9600bpsが主流であり、通常企業内に導入されているネットワークの転送速度(10Mbps=約1千万bps)に比べると格段の差がある。よって、作業船運行管理情報システムでは無線通信部分がかなりネックになると考えられ、システム稼働中にデータ転送が常時行われる構成は不向きと考えられる。このことを考慮して、3者の形態を比較した場合、サーバクライアント型システムおよびイントラネット型システムは稼働中に常時データ転送が行われる形態であり、無線通信部分の転送速度が低いがために、システムの稼働中にレスポンスが帰ってこないことが懸念される。スタンドアロン型システムでは、システム稼働中にネットワークを介したデータ通信はもちろん行われず、ファイルを生成し、それをファイル転送することによって、上記にあげた問題は解決できると考えられる。
以上、ここで検討した結果では、作業船運行管理情報システムの形態としてはスタンドアロン型システムが有利と考えられ、比較的システム構築が容易で、構築環境も整っているAccess97をベースにシステム構築を行うことが最適と考えられる。