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流れ場の解法としては時間方向には前進差分で離散化し、1時間ステップ後の圧力場をナビエストークス方程式の発散=0から得られる圧力場の方程式〔ポアソンの式〕により求める。なお、計算は移動座標格子により行うが、柱状体の運動により境界が移動するために運動方程式にはこれを記述するための湧き出し項が追加される。

 

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3. 計算結果

図1は低レイノルズ数(Re=90)におけるロックイン領域外での円柱の振動の様子を示しているが、Uredは5.02であり、渦の発生周期は静止円柱の場合と変わらない。この領域では円柱の無次元振動振幅y/Dは2.5%以下である。図2はロックインに入った状態での振動を示したものであるが、大きな振幅で振動を始め、最大振幅0.4に達している。図3はロックイン状態での渦による起振力のスペクトルを示しているが、うずの発生周波数が柱状体の自然振動数0.163にロックされていることがわかる。図4はロックイン領域を含む一連の実験と計算の結果をy/Dの最大値とそのときのf/fn(fは渦発生周波数)についてプロットしたものである。f/fn=1は渦の発生周波数が構造物の自然振動数にロックされていることを示している。図5は中レイノルズ数領域(Re〜1.5×103)、図6は高レイノルズ数領域(Re〜4.0×105)における円柱の振動振幅を示したものである。図6のケースは臨界レイノルズ数領域を含んでいる。この領域でも本計算の結果は実験データと良い一致を見せている。図7は本計算法が広い適用範囲を持つことを示した例であり、流れに沿って置かれた2つの円柱の振動についてのスナップショットである。上流側の円柱と下流側の円柱が逆位相で振動する典型的な振動パターンをはっきりと見ることができる。

 

 

 

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