4. ライザー曲げ弾性方程式の解とその分析
波が存在する深度に亘ってのyiの漸近線展開の解は不可能であることから、本稿では表面部分と海洋波を無視できる下部とに分けて考えることとする。
ライザーの最適パラメーター選択プログラム「RISORT」と不規則波中でのライザーの曲げ振動計算ソフト「RIBERA」を開発し、これを用いてブラジル沖の2,700m水深のと「Campos Basin」(例1)及び北東太平洋4,000m水深(例2)での掘削へのアルミライザーの使用の可能性について検討した。
次のパラメーターが計算に使用された。
ライザーの内径 0.485m
アルミ比重 2750kg/m3
弾性係数 7.1x1010N/m2
抵抗係数 1
inertial force係数 2
上端張力 9200kN
下端自由ジョイントの捩り剛性 2300kN-m
周辺リングの単位重量(空中) 417N/m
(チョーク・キルライン、ブースタライン、2の水圧管)
海水比重 1,025kg/m3
波のスペクトルとしては、例1では周期7.9sec、有義波高5.1mで、例2では同8.0sec、同7.7mでPierson-Moskowitzの式を用いた。
図-2は、流れ無し、セミサブの横移動量20mの場合の2,700mライザーの曲げ応力の分布を示す。ここで、セミサブの横移動量の曲げ応力に与える影響は小さいことが分かる。
図-3に同様の計算が例2についても行われ、その結果からも、大深度の場合、ライザーの曲げの影響は応力面から小さいことが分かる。
ライザーの主要目は、この例1、2に関する限り、API勧告の限度の範囲内にとどまることが分かった。
5. 結論
・ 2700〜4000m深度での掘削孔に用いられる合金1980で製造されたアルミライザーはAPI勧告に適合する。
・ 適当に選定されれば、3次元アルミライザーは高い泥水比重まで許容する。即ち、2000kg/m3(深度2700m)、1550kg/m3(深度4000m)
・ ライザーがウェルヘッドに接合されている時、ライザーの曲げの応力分布への影響は無視できる。