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付録I OMAE'98における興味深い発表の概要

 

大深度アルミ製掘削ライザーの解析(OMAE98-0540)

-波浪中の曲げ振動とパラメーター-

(文責:藤井)

V. S. Tikhonov, Alexander I. Safronov, M. Y. Gelfgat, N. N. Grebtsov, A. M. Podrazhansky

(Aqatic Company, モスクワ) E-mail;aqvatc@dol.ru

 

1. 概要

大深度掘削孔のアルミニウムライザーの使用は、要するに生産とオペレーションコストの低減につながる。本稿では、大深度アルミニウムライザーの動的特徴を解析-傾斜角と曲げ応力(不規則波浪と掘削船の移動を考慮)-する。

この解析のために、大深度ライザー解析のためのプログラム「RIBERA」が開発された。2,700mと4,000m深度でのアルミライザーの解析を行い、この種のライザーがAPIの勧告要件に適合することを示した。

これまではアルミニウム合金は、強度、腐食、材料製造、ライザー製造、メンテナンス等から見て、要件を満足するとは考えられなかった。

1980年にロシアで開発されたアルミ合金は、350MPaの高降伏点を有し、腐食、溶接面でも優れているものである。内径500mm、肉厚30mm迄の押出し成型法が開発されている。それは、鋼材に比べ、強度で1/1.5、重量で1/3程度になる。

従って、軽量となるため、浮力材が不要となり、ライザーの製造やオペレーションのコストダウンにつながる。

解析法はたくさんあるが、有効なものとしてKirk(1985)、TikhonovとMashkova(1988)の方法がある。本稿では、スペクトル法で大深度ライザーの曲げ振動解析するTikhonov等(1988)の方法を改良することが主目的である。

この中で、不規則台風波中で2,700mと4,000m深度の大比重泥水ライザーの動的解析例を示し、その有用性を確認した。

 

2. ライザー仕様の選定

1] まず、掘削船のヒーブによる張力変化と曲げ応力については無視すること。これは、経験的に、ライザーの傾斜角;静的には2°、動的には4°、本船のウェルヘッドからの静的な移動量は深さの1%とする。

さらに、その海域は並の波浪とする。ブラジル沖、水深2,700mでは有義波高の最大値は5.1m、日本の極東太平洋4,000m水深でも7.7mを超えないとされている。

この条件では、張力が10,000kNで、泥水の高圧下では、ライザーの曲げ応力は全体の10〜15%以下である。従って、これを無視し、安全率の中に含めることが可能である。

2] 第2に、ヒーブコンペンセータの作動により、実際にはライザーの張力は一定に保たれる。

泥水比重は大切な条件となる。ライザーの上下端での安全係数は1.65が用いられた。

(APIでは1.5であるが、曲げ応力分として割り増しになっている。)

 

 

 

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