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2. 調査結果

 

2.1 OTC'98

 

今年で第30回を迎えたOffshore Technology Conference(OTC'98)は米国テキサス州ヒューストンのアストロドームコンプレックスにおいて5月4日(月)から5月7日(木)の4日間開催された。

場所も、5月の第1週の月曜日からという時期も例年通りである。最近の米国石油業界の好景気を如実に反映し、昨年にも増して盛況であった。会場前の駐車場にまでもデモスペースを展開し、移動式リグを設置したりして来場者の目を引いていた。ヒューストンの大空に向けてそびえ立つリグのマスト上に星条旗が翻っていたのは誠にアメリカ的な情景であった。

第1回のOTCは1969年に開催され、当時の参加者は4,200人であったとの記録が残っているが、今年度の登録入場者数はその約12倍の49,641人を数え、OTCは今や海洋開発に係わる掘削、開発、生産と環境保全の4分野において世界の最先端を紹介する一大イベントとなっている。過去30年の間にこのOTCに参加した海洋開発業界の専門家や技術者はのべ100万人を超えるとの計算もある。

OTC'98のデータを昨年度との比較で追ってみると次のようになる。発表論文数は255(1997は260)、展示企業・団体数は1,846(1997は1,846)、展示面積34,371平方メートル(1997は26,340平方メートル)、登録入場者数は49,641人(1997は43,394人)。

 

2.1.1 OTC展示会

 

2.1.1.1 掘削機器関連

 

石油掘削機器関連の展示・発表としては今年のメインテーマはやはり「大水深」といわざるを得ないほどの充実さを目にした。テクニカルセッションで発表される論文も大水深関連が多く、全体の3割近くは大水深と何らかの関連をもつものであった。

一部ではすでに単純な大水深という表現ではもの足らず、「スーパー大水深」や「ウルトラ大水深」なるカテゴリーも自薦他薦で創られ、今や何らかの意味で大水深対応でなければ業界標準ではあり得ないような熱気を感じた。

展示・発表の縦割り的なメジャーテーマが大水深とすれば、横断的なメイン区分としての顕著な傾向として「省力化(機械化)」と「安全化」を挙げることが出来る。業界では常々提唱されてきた分野ではあるが近年のコンピュータの一層の進歩とトータルシステムとしての信頼性の向上によりこの2分野を非常に完成度の高い次元で統合することが可能となった。

一例としてHitech社のCyberbaseやDrillers Cabinの展示モデル機はこれらのシステムを活用し、ジョイスティックや簡単なスイッチ類の操作で全てコントロール出来る

 

 

 

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