
(3)造船事情
ブラジルはポルトガル領として建国され、ブラジルとポルトガルとの間で物資と人の往来が盛んに行われたため、ブラジルにとって造船業は海運業と共に極めて重要であった。
ブラジルでの造船業の起源は、1773年ポルトガル政府によるリオ・デ・ジャネイロの海軍工廠の設立に逆のぼる。
19世紀中期から後半には、近隣諸国は領土問題を巡って数々の戦争を起こしたため、船舶建造への需要が高まり、1846年にMaua、1986年にはCanecoが設立されている。
20世紀前半は、政治不安と度重なる政策の変更により、ブラジルの造船業への支援は余り行われなかったが、第二次世界大戦後になり漸く造船産業は、国家の優先産業として見なされるようになった。
政府により自国優先主義や数々の船舶拡充計画が打出され、また、船舶建造のための融資も行われてブラジルの造船業は発展し、現在では南米における造船大国になっている。 1980年には、32隻、120万G/Tの建造実績を記録している。
1980年に入り、ブラジル経済の悪化のために、ブラジル造船業は不況に陥ってしまった。
最近では、過去の保護政策も撤廃する方向にあり、造船会社も生き残りをかけての厳しい競争を行っている状況である。
1997年に交付された新海運政策(第2船籍登録制度)により、ブラジル国籍船利用による受益が注目され、ブラジル建造需要が増加すること、また、メルコスール域内の貿易の活発化が、ブラジル造船業にとっての好材料として期待されている。
一方、船舶修繕需要は、メルコスール域内の交易の活性化および輸出入の増大により、伸びることが予想され、更に、ブラジルの海運会社の所有船舶の船齢が高いため、それらを外航用に利用する場合には可成りの修繕が必要となることなどから船舶修繕需要は伸びるものと予想されている。
ブラジルの近年の船舶建造量は、20〜30万G/で推移しており、最盛期の20〜25%に激減しており、従業員数はピーク時の1979年の約39,000人から、1996年には約6,000人となっている。
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