
(4)漁業事情
チリは南北約4,300?に及ぶ長い海岸線をもち、漁場は沿岸から20〜30マイルの近い水域にあり、また領海には220種類以上の食用魚が生息しており、漁業に恵まれた国である。
チリの水産業が発展し始めたのは、チリ北部水域においてアンチョビーの開発が始まった1955年以降である。
その後、同国の水産業の積極的な振興を図るために、漁業振興法が制定され、魚粉・魚油製造業に対する政府の助成策などにより、チリの水産業は急速に発展し、現在では漁獲量は南米第1位となっている。
チリの北部地方では、主に旋網によってイワシ、サバ、アジなどの浮魚類を捕り、魚粉の材料としている。
中部地方では、主にトロールによってメルルーサ、伊勢エビ、その他エビなどの底魚類を捕っており、これらは冷凍肉、缶詰などの食品に加工されている。
南部地方は、海が荒れるため国内漁船による漁業はあまり行われておらず、外国船に許可を与えて、トロールによるメルルーサを中心とした漁業が行われている。
漁獲量は、1983〜87年にかけて400〜500万トン台で推移していたが、1991年には600万トン、92年には650万トンに増加し、さらに94年780万トン、95年760万と順調な伸びを記録している。
水産物は、銅、鉄鉱などの鉱産物以外の、チリにとって重要な輸出品であり、生鮮水産物(魚類、貝・甲殻類、海草類など)および水産加工品(魚粉、魚油、冷凍魚、乾燥魚、くん製魚、缶詰魚など)が、貴重な外貨収入源となっている。
水産物(加工品を含む)の輸出は、約17億ドル(95年)に達し、輸出総額の約10%を占めている。
このため、政府の産業開発計画では漁業部門を重要視して、漁港における冷凍倉庫の増設、加工工場の拡張など受入体制の整備とともに、漁船の近代化・増強あるいは漁民センター設置による漁業者の教育・訓練などを実施して、漁業開発を推進している。
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