
一方、La Marina Mercante iberoamericana 1997によると、1996年12月末現在の1,000G/T以上のチリ国籍船は、27隻、44万9,277G/Tであり、1980年以降、35隻前後の保有船舶数で推移しており、総トン数も同様にほぼ横這い状態である。
1995年12月末現在の1,000G/T以上のチリ国籍の内訳は、23隻の外航船(47万9,820G/T)、14隻の内航船(9万3,850G/T)で、総船腹数37隻(57万3,670G/T)となっている。
全商船のうち、国有船舶は全くなく、37隻は全て民間海運会社の所有である。
なお、チリの海運会社が支配している便宜置籍船を計算に加えると、1996年12月末現在の船舶数は59隻、985,472G/Tとなり、便宜置籍船が年々増加していることが分かる。
チリ国籍船、便宜置籍船(1,000G/丁以上)の推移は、次の通りである。
(B)海運事情と保有船主の実態
チリは本来スペインの植民地であったため、本国との交易を活発にしていく上で、歴史的に海運業は重要な位置を占めてきた。
また、チリは南北に約4,300?にわたる長い海岸線をもつ縦に細長い国であることから、海運はチリの国内貨物輸送のための主要な輸送手段であった。
その他にも、チリの主要輸出品である銅をはじめ鉄鉱、木材、果物、野菜、魚粉などの輸出にも海運業の発展は欠かせないものであり、政府も自国海運力増強に努めている。
最近におけるチリの海上貨物取扱い量(輸出入合計)は、1993年3,660万トン、1994年4,061万トン、1995年4,374万トン、1996年5,082万トンであった。このうち、輸入貨物は1993年1,473万トン、1994年1,427万トン、1995年1,609万トン、1996年1,986万トン、輸出貨物は1993年2,187万トン、1994年2,634万トン、1995年2,765万トン、1996年3,096万トンとであった。
輸出、輸入貨物とも年平均約10%の伸びを記録している。
なお、1996年実績でみると、固形バルクが全体の約52%を占め、輸出入において近年の増加が著しい。
輸出入貨物量は年々増加する一方であるが、内航沿岸輸送貨物量は1986年以降、年間750万トン前後で推移し、横這い状態が続いている。
内航沿岸輸送と外航輸送を実際に行っている船舶の船籍をみてみると、内航沿岸輸送は主にチリ国籍船によって行われ、輸出入貨物輸送は主として外国船によって行われている。
このため、拡大する輸出入貨物輸送市場は外国海運会社によりシェアが占められ、伸び悩む内航沿岸輸送市場はチリの海運会社により大半のシェアが占められるという構図となっており、その恩恵を外国海運会社が享受する結果となっている。
なお、南米海運市場ではメルコスール(南米南部共同市場)結成により、海運への需要増が期待されているが、ブラジルとアルゼンチンを中心に南米大陸の東部での動きが活発となっているが、チリは位置的にその恩恵を被ることが難しいとされている。
チリのメヒヨネース巨大港計画が現実化し、南米東部の貨物が大西洋から運び出されるのではなく、地上を通過しメヒョネース港を通じて太平洋から運び出されることになれば、メルコスールによる貿易量の伸びの影響を享受できるかも知れない。
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