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 貿易関係では、1983年に不況を克服して以来、93年を除き、チリの貿易収支は95年まで黒字を計上し続けてきた。
 しかし、近年のペソ高に刺激された国内消費需要の高まりを受けて輸入額が急激な伸びをみせ一方、輸出では加工食品などの非伝統産品の伸びに反し、主力の銅が低迷しているため、96年、97年は赤字貿易になっている。
 98年の輸出は、以上の要因に加え40%のシェアを持つアジア市場が通貨危機で需要を減らす一方、経済の過熱で輸入が著増し、貿易赤字は大幅に悪化する可能性が強い。
 主要輸出商品(1996年)は、銅(全輸出収入の38.2%)、加工食品(20.0%)、製材・パルプ・紙(}0.9%)、果物(8.7%)などであり、依然として銅が大きな比重を占めている。
 一方、同年の輸入では、機械類、輸送機器、化学品、石油製品などが主要商品となっている。
 チリの貿易は、他の南米諸国と異なり、その貿易相手国は多様性に富んでいる。
 チリは環太平洋に属する南米の一国というその地理的な優利性を活かし、メルコスール(南米南部共同市場)、APEC(アジア環太平洋経済協力機構)、NAFTA(北米自由貿易協定)およびEUとの関係強化を図り、それぞれにおいて貿易のフレームワーク作りに努めてきており、特に近年ではアジア諸国との関係強化を図り、アジアに対する南米の出入口を標榜している。
 1997年における主要貿易相手国は、輸出では米国(16.6%)、日本(16.2%)、ブラジル(6.1%)、英国、韓国などであり、輸入では米国(23.7%)、アルゼンチン(9.4%)、ブラジル(6.1%)、日本(5.5%)、メキシコなどである。
 対日貿易では、恒常的に黒字貿易であり、銅鉱、魚介類を輸出し、トラック、乗用車、同部品などを輸入している。
 なお、チリに対する経済援助実績(95年)では、日本が第一位を占めている。

 

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