
(3)造船事情
メキシコの造船業は本来、小型の漁船、内航船および作業船の建造・修理が中心であり、外航船の建造能力はなかった。
しかし、70年代後半に至り国内石油産業の急速な発展によるタンカー需要の増大、国内工業および輸出入貿易の拡大に伴う船舶不足や、漁業振興のための漁船建造の必要などに対応するため、政府は造船業の本格的な育成に乗り出した。
81年には、造船業新興計画を決定し、既存造船所の整備・統合、各種助成措置の導入、外国資本・技術協力による本格的な造船所建設などの政策を採り、その後の新政権下においても継続されたが、国内経済危機による混乱と資金不足が要因で、期待した程の大きな進展はない。
メキシコには、国内最大の8万DWT型船の建造能力を持つ造船所もあるが、機械生産、専門技術の不足などにより、特に近年は建造実績がほとんど皆無に近い。
また、船舶修繕業についても、修繕コスト、技術能力、品質部品供給、納期などの点で国際競争力が不十分であり、このためメキシコの外航船の多くは、外国造船所で修理を行っているのが現状である。
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