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(B)海運事情と保有船主の実態
 メキシコは、東はメキシコ湾に臨み、西は太平洋に面した長い海岸線に恵まれ、貿易量の半分以上を海上輸送に依存しているが、自国海運業による輸送比率は極めて低く、外航、内航とも数%に過ぎない。
 また、メキシコの最大貿易国が隣国の米国であり、両国間貿易貨物の80%以上が陸上輸送、空路輸送を利用していることも、自国海運業の発展を妨げる要因となっている。
 メキシコ政府は、81年に海運振興法を制定し、船員の養成、自国船用貨物の留保、商船隊の拡充に努め、76年当時には約60万G/Tの船腹量も86年には150万G/T以上の増強された。
 しかし、最近は建造資金や運航上の問題などから、外国籍であっても便宜置籍として外国用船とする傾向が高まっており、積極的な自国船腹増強政策がとられていないのが現状である。

 メキシコの代表的海運会社は、国営のPEMEX社とTMM社である。
 TMM社は自社船16隻(約45万G/T)を保有し、沿岸航路のほか欧州、スカンジナビア、地中海、米国、中南米、カリブ海、日本その他の極東諸国などの定期航路に配船している。
 また、PEMEX社は自社船28隻(約52万G/T)を保有し、主としてタンカー輸送に従事している。

 

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