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(B)海運事情と保有船主の実態
 米国の海運界には、200社以上の海運会社があるが、その半数以上は保有船腹量が50,000G/T以下の小企業である。
 米国海運業は、近年活発な増強がなされておらず、世界の船籍別商用船船腹量順位も、1988年の第7位から、97年には第12位に後退している。
 なお、政府は海運対策としてMaritimeSecurityProgram(MSP)を1996年10月の第104会議において可決し、210万ドル1隻×47隻を10年間助成することとし、年間予算約1億ドルを計上している。
 初年度は38隻(8,000万ドル)が認可され、残り9隻分は(シンガポールNOLに買収される)APLへ割当てられる。
 なお、緊急事態に対応できる米国籍船の維持助成を受ける船舶は、軍事的緊急事態への対応やインターモーダル輸送で国に協力しなくてはならないことになっている。
 また、1993年「タイトルXI」建造融資保証制度の拡充強化が実施され、これが効を奏したことにより、1994年後半以降相当数の商船建造契約がなされている。
 この建造融資制度は、従来から存在した制度であるが、冷戦の終焉に伴う軍需の減少に対応して、クリントン政府が米国商船および造船業支援策として、93年に拡充強化を行ったものである。
 主な内容は、保証制度の上限を建造事業費の75%から87.5%に引き上げると共に、外国船主に対しても米国建造を条件に、適用できるものとしている。
 本制度の概要は、次の通りである。
 申請適格者:米国又は外国船主(米国建造を条件とする。)
 保証対象(上限):建造事業費(船価に加え建造中金利等も含む。)の87.5%
 保証期間(最長):25年
 保証手数料:0.5〜1.0%
 なお、本制度は米国政府が融資(債務)保証を行うものであり、融資本体は民間金融機関により行われる。
 実行上、長期(25年)固定の超優遇金利が設定され、政府への融資保証手数料を含め、現在は7.0%〜7.5%程度の実勢金利となっている。
 外国貿易の入出港船舶は、5〜5.5%億純トン数で推移しており、徐々に増加の傾向にある。

 

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