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 南アの貿易構造は、資源を輸出し機械など製品を輸入する発展途上国型である。
 最近では、資源輸出型の短所である国際相場依存からの脱却を目指して、高付加価値製品の輸出に取組んでいる。
 これは、アパルトヘイト制度の廃止により国際社会に受け入れられるようになり、輸出環境が大きく改善されたことにも因る。
 しかし、工業品の輸出は未だ少なく、鉱物資源の輸出シェアは60%以上に達し、世界経済の影響を受け易い構造である。
 特に、金価格は南ア経済を左右し、金価格の低迷は国際収支の悪化、経済活動の不振を招く要因となっている。
 南アの貿易は、92年以降輸出入とも順調に拡大している。
 96年の貿易をIMF統計でみると、輸出は356億8,200万ドルで前年比26.5%増と大幅な伸びを示し、輸入も280億2600万ドルで同4.5%の伸びとなった。
 収支は76億5,600万ドルの黒字で、前年比5.5%の伸びである。
 96年は南ア通貨ランドの対ドルレートが、年間で28%下落しており、ランド安が輸出額の増加に反映している。
 主な輸出品は金、ダイヤモンドを中心とする各種鉱産物、石炭、電力などエネルギー製品、農産物など一次産品であるが、金産出量は減少傾向にあり、また農業生産は干ばつに左右され易いため、政府はより付加価値の高い製品への転換を推進している。
 輸入は資本財、中間財、機械類、輸送機械が大半を占めている。
 国連の経済制裁が解除されて以降、石油の輸入が増加し続けている。
 輸出の主要品目別では、1位が貴石・半貴石、金である。
 金はランド安により1262億9,400万ドルと前年比16.7%増であったが、産出量は鉱区の老朽化や採掘コストの上昇により、同5.3%減と減少傾向が続いている。
 このため、海外金鉱会社との合併の動きも出始めている。
 2位は、95年に25%増と急成長したベースメタルで、フェロアロイ、鉄鋼製品を中心に前年比30%増と好調を持続している。
 3位は鉄鉱石、石炭・マンガン鉱などの鉱産品で、同17.5%増となっている。
 以下、化学品、機械・電気機器、農産品、加工食品・飲料などであるが、農産品同63%増、加工食品・飲料同38%増と、96年経済を支えた農産品が輸出面でも大きく伸びていることが注目される。
 主要輸出入相手国は、輸出では日本が1位で、米国、イタリア、ドイツなどが続き、輸入ではドイツが1位で、米国、英国、日本などが続いている。
 また、対日貿易では恒久的黒字貿易であり、金属類を主として輸出し、自動車・同部品類を主に輸入している。

 

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