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 貿易関係では、チュニジアは農産物、鉱産物などの一次産品を輸出し、工業製品を輸入するという発展途上国に共通する貿易パターンである。
 貿易収支は恒常的な赤字であり、過去20年間、輸出額の輸入に対する割合は50〜72%である。
 チュニジアが自由貿易市場へ移行したことから、国際競争下においての貿易収支の改善は困難とみられている。
 貿易赤字は、観光収入と海外在住チュニジア人からの本国送金によりかなり相殺されており、1993年の貿易赤字のうち、観光収入と送金により12.8億ディナールが軽減されている。
 貿易赤字の要因としては、輸出の重要品目である原油生産量の伸び悩みと、国際石油価格の低迷、経済開発の推進に伴う資本財、原材料の輸入増加、天候不順による穀物の輸入増加などが挙げられる。
 輸出品目としては、81年には54%を占めていたハイドロカーボンの構成比率が、94年には9%にまで減少している。
 一方、食料品の輸出は全体の10〜14%を維持している。
 機械、電気機器の輸出は、徐々に増加してきている。
 輸出の中で衣料関係の占める割合が最も高く、40%近くに上っている。
 伸びの大きい機械、電気製品および衣料、皮製品の輸出先はその大半がフランス、イタリア、ドイツである。
 輸入では、輸出用工業セクターが必要とする材料、部品を主とし、その他品目は多岐にわたっている。
 鋼材の輸入が経済発展とともに増加しており、輸出として大きな比重を占めている衣料製品に対応して、その原料、中間財としての繊維の輸入が伸びている。
 輸入では、フランスの比重が最も高く、イタリア、ドイツがこれに次いでいる。
 例外として食料品の輸入元としてアメリカが最も大きい。
 チュニジアの貿易相手国としては、西ヨーロッパが中心であり、アラブ・マグレブ諸国との間での貿易割合は、輸出相手国としては6.3%、輸入相手国として3.8%程度に過ぎない。

 

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