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 エジプトの貿易構造は、政府の国産化政策に加えて厳しい外貨事情から、対外貿易は規制が強かったが、外貨事情の好転と自由化の進展により、近年は拡大傾向にある。
 輸出は、伝統的に綿花のモノカルチュア的性格が強かったが、石油が輸出品目として登場した70年代後半以降最大の輸出品目となった。
 その後、80年に起こった石油価格の急落と国内消費量の増大により、石油輸出は低落した。このため87年頃から経済政策として、石油依存型からの脱却が図られている。
 最近では、工業部門を中心に国内産業の育成が図られており、輸出商品も繊維製品、金属製品など多様化が図られている。
 輸出では、石油の主要輸入国であるイタリアが首位で、米国、英国、ドイツが次いでいる。
 輸入では、米国が最大の輸入相手国で、ドイツ、イタリア、フランス、日本がこれに次いでいる。
 輸出商品については、エジプトは基本的に農業国であり、かっては農産物が輸出の主力であったが、76年に石油輸出の余力が生じて以来、石油輸出の比重は年々増加した。
 84年には、輸出総額の65%を占めたが、86年以降は価格の下落で石油の比率は縮小し、95年には42.4%まで低下した。
 石油に次ぐ輸出品は、既製服、綿糸、米、綿花の順となっている。
 輸入商品については、73年の門戸解放策により民間輸入が大幅に自由化され、消費財の輸入が増えている。
 95年の輸入では、小麦が11.7%を占め木材、有機・無機化学品が、これに次いでいる。
 96年の貿易額は、輸出額が52.39億ドルに対し、輸入額は195.13億ドルで、輸出は輸入の26.8%を占めるに過ぎず、大幅な入超となっている。
 なお、エジプトでは1982年から2002年までの長期経済、社会開発計画をたて、第1次から第4次まで5カ年ごとに分けて実施しており、既に第3次までが終わっている。
 政府は、第4次5カ年計画(97〜2002年)の開始年にあたり、「エジプトの21世紀」と題する文書を発表し、この中で20年間に所得を4倍増とする計画を提示している。
 「エジプトの21世紀」の中には、次の項目などがうたわれている。

 

 1. 2017年までの20年間にわたるエジプトの総合開発は、4次にわたる5カ年計画を通じて行う。

 2. 国土の5.5%に当たる居住面積を25%まで拡大する。

 3. 実質成長率を、過去15年間の年平均4.8%から2002年には6.8%、それに続く2017年までの15カ年に7.6%まで高める。

 4. 2017年までにGDPを現行の2,570億LE(約760億ドル)から、1.1兆LE(約3,240億ドル)に4倍高める。

 5. 1人当たりGNPを、現行の4,270LE(約1,250ドル)から2017年には、最低1,375万LE(約4,100ドル)にまで高める。

 6. 開発を加速させることにより、貿易収支の赤字を削減する。第5次計画終了時には収支を均衡させ、第6次計画期には貿易黒字となり、最終の第7次計画終了時には大幅黒字を出すようにする。

 7. インフレを極力抑えるように努め、成長率が伸びた場合でも、インフレを最大年5%以内に抑える。

 8. 人口の年間増に見合う約55万人分の雇用創造を計画する。

 

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