日本財団 図書館


 アルジェリアの貿易規模は、輸出入とも拡大の一途をたどってきたが、82年以降は世界的な石油の供給過剰の影響を受けて足踏み状態が続いていた。
 輸出の低迷で外貨収入が減少したため、開発プロジェクトの実施見通しや輸入抑制を余儀なくされ、それが輸入減に繁がることになり悪循環をもたらしている。
 輸出は、原油、天然ガス、石油製品など炭化水素関連品目が90%以上を占めている。
 政府の天然ガスヘの重点移行政策が順調に進行しており、炭化水素品目の輸出割合は急速に減少し、全体の20%近くまでになった反面、天然ガス、コンデンセート、精製品の比重が増加している。
 アルジェリアの通関統計によれば、96年の輸出は前年比31%増の133.75億ドルと急増した一方、輸入は同15%減の90.98億ドルと低迷した。
 この結果、貿易収支は2年ぶりに43億ドルの大幅な出超となった。
 輸出の93%を占める原油、ガス、コンデンセートなど炭化水素資源は、資源開発の進展や油価の上昇に加え、同年秋からスペインに至る新しいガス・パイプライン(欧州・マグレブ・ガスパイプライン)と液化処理施設が稼動し始めたため、前年比28%と大きく輸出が伸びた。
 他方、好調な農業生産を反映して食品輸出も好調であった。
 主な輸出先はイタリア(構成比20%)、米国(同25%)、フランス(同13%)で、EU諸国向けが全体の60%を占めている。
 主要輸入品目では、機械製品の構成比が34%(前年比3%増)と最大で、ついで食料品が同29%(同6%減)、生産関連資材が同26%(同27%減)となっている。
 95年の輸入ブームが一段落し、内需も低迷したことから、96年は消費財、資本財ともに輸入が減少した。
 主な輸入相手国は、フランス(構成比24%)、スペイン(同12%)、米国(同10%)で、輸出ではEU諸国が全体の63%を占めている。
 対日貿易は、日本側の通関統計によれば96年の対アルジェリア貿易は、輸出が約1.24億ドル(前年比51%減)と大きく減少した一方、輸入は1.97億ドル(同19%増)と増加し、89年以降、日本の出超であった貿易収支はほぼ均衡した。
 輸出は、大宗を占める工業製品が軒並み減となった。特に、自動車やエンジン・ポンプ類など機械機器類(構成比73%)が前年比55%減と大幅に減少したほか、鉄鋼(同15%)も同15%減となり、内需不振の影響を大きく受けた。
 一方、輸入のほぼ全部を占める鉱物性燃料は、コールタール蒸溜物の輸入(構成比14%)が前年並みとなった一方、96年に需要が拡大した軽油の輸入が前年比38%増(同86%)と順調に拡大した。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION