(2)魅力ある造船業へ向けた産業基盤の整備
海上輸送貿易は我が国経済にとって重要なものであり、造船業は海運業とともに日本の経済活動を支える重要な役割を担っている。我が国では、造船業が存在意義のある健全な魅力ある造船業として存立していくため、以下の対策を講じ、産業基盤の整備を図っている。
(ア)次世代造船業の構築
我が国造船業は、最近10年間で高い生産性向上を達成した。しかしながら、在来の手法と技術では、今後も引き続き、同レベルの高い生産性の向上を実現していくのは容易ではない。このため、以下の対策を講じ、次世代の造船業の構築を進める必要がある。
? 自動化・情報技術の導入を促進し、経営全体として高度の生産性を達成できる技術力と経営体制の確立を目指す。
? 生産の集中化、建造する船種・船型の専門化等を進め、比較的小規模な生産拠点が散在している現在の生産体制の適正化を図る。
? 経営資源の一層の有効活用を図るための事業提携の推進を図る。
(イ)研究基盤の強化
多様化する社会ニーズへの的確な対応を図るため、技術力の向上を図る。
(ウ)需要の創出
2000年以降の新造船需要の減退期においても適正な操業を維持すため、従来の船舶需要とは異なる新たな需要の創出に取り組む。
一方、国内においては、物流の構造変化に伴って、主として内航船を建造している中小造船業が構造的な不況に陥っており、1997年12月に海運造船合理化審議会は中小造船業対策に関する補足意見書を報告した。(図?-2参照)現在、中小造船業が早期に活力を取り戻すために、過剰設備の処理や技術基盤・生産基盤の強化等の構造改善対策に取り組んでいるところである。