3 移動式建家について
3.1移動式建家の解釈
建築基準法の第2条では建築物を次のように定義している。
「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに付属する門若しくはへい、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作
物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道の敷地内のプラットホーム上家などの施設を除く)をいい、建築設備を含むもの
とする。」
現在、移動屋根を持った建物のように、構造上可動部を有する建築物についての建築基準法の規定はないが、構造設計の上では、日本建築学会の設計指針
「開閉式屋根構造設計指針」のなかで基本事項が示されている。その指針の適用範囲は「建築物の屋根構造の一部または全部が走行・移動することにより、
開状態および閉状態となる開閉式屋根構造の設計に適用する。」と記されている。
したがって、移動式建物は建築物として認識する必要がある。
建築確認に対する行政の扱いは地域毎で判断されているようだが、「移動式」でも使用の目的、柱脚固定の状況から判断して建築物として指導している。開
閉式建物の建設に当たっては一般の確認申請ではなく、原則的には建築規準法38条の適用となっている。すなわち建設大臣の評価を受けることになる。
3.2特記項目
移動式建家で特に検討を必要とする事項は下記である。
1)設計上
(1)駆動装置部
・設計準拠規準の採用。 (機械学会、クレーン規格、等)
・駆動方式の選定。 (台車の配置、荷重伝達ルートの明確化)
・荷重の設定。 (自重・水平動荷重・衝突荷重・駆動力・風荷重・積雪荷重・地震荷重)
・各荷重に対する支持条件の明確化。 (ロック装置、サイドローラー、メインローラー、モーターブレーキ煽り止め等、)
・車輪及びレールの選定。
・走行速度・走行抵抗・電動機の容量の設定。
(2)ブレーキについて(制動力の設定、ブレーキトルクの倍率の設定)
(3)ロックピンについて(屋根の吹き上げ防止、脱輪防止に対する工夫など)
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