日本財団 図書館


1 カバードドックの計画


1.1既設ドックに建家を架ける問題

(1)周辺施設との関連
 計画する建家は一般の工場建家に比べて、スパンが大きく軒高が高いものになり、容量の大きいクレーンを搭載した大規模建家となる。一般的に建家の柱は、既設のドック壁と、その隣に走行しているジブクレーンの基礎の間に設けられる。 クレーンの基礎とドック壁の間に余裕があり、そこに建つ建家の基礎が納まればよいが、その間隔が狭いと、建家基礎の大きさをどこまで押さえることができるかという問題になる。それが、計画の上で大きなポイントになるとすれば、柱と基礎が一体となった工場建家(こ こではドームと称する)のようなものではなく、移動式建家(ここでは半ドームと称する)で基礎の大きさを押さえることが出来るかという検討になる。 また、その計画がどの程度の生産効率を生み出すか、そのためには周辺設備の配置、資材運搬、作業の動線などとうまく噛み合うことも大切なことで、 場合によってはシステムを変える必要がでてくることもある。

(2)既設ドックの壁への影響。
 船台に建家を建設する場合はあまり問題がないかもしれないが、深さ10m位のドック壁の際に柱を建てる場合は既設壁の耐力の検討が必要である。建屋の基礎には台風や地震時に大きな水平力がはたらき、既設ドックの壁にもその外力が影響する。特に建家の基礎に杭がない場合はドック壁の補強工事も予想しなければならない。既設ドックはグランドアンカーで土圧を処理しているものもある。その場合は、地盤の状態にもよるが、建屋の基礎とドック壁を一体として設計をすることになろう。

(3)ゲート付近の問題
 ドックの排水ポンプ室は一般的に出渠ゲートの脇にあり、ちょうどカバードドック建家の基礎の位置にあたる。既設のポンプ室が建家内の作業エリヤ側にあれば問題はないが、その位置が反対側にあれば、出渠ゲート、ポンプ室を含めた全体をカバーすることはむずかしい。

(4)建設期間とドックの使用期間
 建家の建設時にドック内で作業を続けることは難しい。やむを得ずドック内の作業を並行させる場合は、屋根トラスの架け方に特殊な工法を採用することになる。発注者と施工者が一体となって安全対策を充分講じる必要があり、また建設中の建物を使うことになるので、仮使用申請手続きを指導をされる可能性がある。




目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION