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2.2 センシティビティ・マップに関する基礎調査の実施

  2.2.1 調査概要

 1993年(平成5年)、当協会は日本財団の支援を受け、海洋汚染防止に関する調査研究事業の一つとして、センシティビティ・マップについての基礎調査を実施した。本調査は、既に世界各国で整備・普及が進められているセンシティビティ・マップについて、わが国沿岸域への活用のあり方などを検討することなどを目的として実施した。
 本調査では、わが国においてセンシティビティ・マップの整備・普及が求められている背景を明らかにしたうえで、海外事例の収集及び整理を行い、その概念及び構造を解析し、さらにわが国沿岸域における活用のあり方などについての検討を行った。本調査は運輸省及び海上保安庁の指導・協力のもと、関係官庁及び関係団体並びに学識経験者により構成される調査研究委員会を組織して実施された。
 本調査の結論として、わが国の実情に即した形で、早急にセンシティビティ・マップの整備・普及を促進する必要があることを提言するとともに、情報図作成に関するガイドラインを完成させた。本調査の結果、わが国の実情に即した形で作成されるこのようなセンシティビティ・マップを、「沿岸域環境保全リスク情報マップ」と呼ぶこととした。

 2.2.2 沿岸域環境保全リスク情報マップ整備の進め方

 当協会の実施したセンシティビティ・マップに関する基礎調査の結果、わが国の沿岸域には多種多様かつ高度な都市的機能及び産業活動が集積していることから、流出油に対する沿岸域の脆弱性を考えるに当たっては、自然環境面に加え、社会・経済活動面に対しても十分かつ慎重な配慮を行う必要があることが明らかとなった。
 即ち、センシティビティ・マップをわが国の実情に即した形でわが国へ取り入れてゆくためには、汀線(海岸線)及びその背後地の利用状況などを新たなセンシティビティ指標として取り上げて重視する必要がある。また、わが国における汀線、その背後地及び海面の利用状況の稠密性に鑑み、油汚染によって被害を受けるおそれのある対象事物のプロフィール等、より詳細な情報の提供が必要であることが明らかとなった。
 従って、わが国におけるセンシティビティ・マップは、米国のESマップ等を参考としながらも、より多彩なセンシティビティ指標及びそれらの指標のプロフィール等、より詳細な情報を提供できる構造を有するものが望ましいとして、次のような提言として取りまとめた。

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