b 全動物プランクトン
図?.2−9(1),(2)には、鹿島港海水の全動物プランクトンの変化、図?2−9(3),(4)には、大阪南港海水の全動物プランクトンの変化を示した。
鹿島港海水の結果は、次のようにまとめられる。
全動物プランクトンでは、前記、植物プランクトンと同様の傾向を示し、個体数は、ほとんどの実験ケースにおいて原水よりも電位印加無し、印加無しよりも印加有りで少なくなっている。 これは、電解槽を通過するだけで一部の個体がポーラスグラファイトに付着・吸着し、さらに、印加で一部の個体が破壊されることを示している。 また、電解槽滞留時間と付着・吸着の関係も、植物プランクトンと同様の傾向で、滞留時間が短い(流速が速い)ほど多い。
電位印加による個体の損傷は、滞留時間約2秒の処理直後から表れ、同1日後で90%以上と100%近い状況となる。
先の甲殻類と異なり、植物プランクトンと似通った印加による損傷がみられるのは、動物プランクトンの主体が大きさ100μm以下の繊毛虫類であり、多くの個体が多孔質炭素電極を通過するため、電極の付着・吸着効果よりも印加による損傷が表れたものと考えられる。
大阪南港の結果は、個体の電極への付着・吸着状況および印加による損傷共に、鹿島港と同様の傾向である。 ただし、印加による損傷は、多少大きく表れ、滞留時間2秒の処理直後から100%に近い。
以上、全動物プランクトンで検討した場合には、電位印加による効果が主体で、電解槽滞留時間約2秒でほとんどの個体が損傷を受け、電極の付着・吸着による除去効果が多少存在する結果となっている。

図?.2−9(1) 全動物プランクトンの変化(鹿島港,処理直後)