むすび
現行のMARPOL73/78条約附属書のうち、附属書I、II、III及びVは既に発効している。未だ発効していない附属書IVについては、近い将来発効する見込みがないことから、ドイツを中心に早期発効にむけての問題点の検討が行われている。1997年に採択された附属書VIについては、2ヶ国が批准したのみである。また2001年を終了目標として附属書I及びIIの大掛かりな改正作業が行われている。
新附属書の策定作業としては、有害海洋性生物の船舶のバラスト水による伝播の規制が審議されている。
また、1983年3月にアラスカ沿岸で発生した、エクソン・バルディーズ号の大量油流出事故を契機とする油タンカーの二重船殻構造に関する附属書Iの改正も終了し、新造船については、1993年7月6日より適用されている。
さらに、同事故を契機として、1992年に採択された、大規模油流出事故による環境への影響を最小限に抑えることを目的とし、緊急防除に関する国際協力体制の構築を主たる目的としたOPRC条約が、1994年5月に締約国15か国以上という発効要件を満たし、1995年5月に発効し、我が国においても、1996年1月17より発効している。
OPRC条約の採択以降も、1993年1月の英国シェトランド諸島南端でのブレアー号の座礁事故、1996年2月の英国南西部ウエールズ沖でのシーエンプレス号の座礁事故、1997年1月我が国日本海でのナホトカ号重油流出事故等、タンカーの事故による油流出事故の発生は後をたたず、OPRC条約関連の多くの問題が検討されている。
今後、既に発効されている海洋汚染防止条約の完全実施及び規則の強化の問題を含めたIMOでの審議がさらに加速されるものと思われる。