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緒言

 

 1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1987年の議定書 (MARPOL73/78条約)は、条約本文及び附属書I(油に関する規則)、附属書II(ばら積みの有害液体物質に関する規則)、附属書III(容器等に収納して運送される有害物質に関する規則)、附属書IV(汚水に関する規則)、附属書V(廃物に関する規則)、附属書VI(排出ガスに関する規則)の6つの附属書から構成されている。
 MARPOL73/78条約は、これらの附属書をそれぞれ独立して発効することになっているが、我が国は、1983年5月26日に当時あったIからVまでの附属書に加入し、関連する国内法である「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」を整備して大幅な改正を行った。
 各附属書は、批准国が15か国以上及び批准国に所属する商船船腹量の合計が世界商船船腹量の50%以上となった日の12か月後に発効することになっている。
 各附属書のうち、附属書I及びIIが1983年10月2日に国際的に発効し、附属書Iは、発効と同時に実施されたが、附属書IIは、技術的に困難視される諸規定をケミカルタンカーの運送実態に適応させた改正を行い1987年4月6日に実施となった。附属書Vは、1988年12月31日に発効し、また附属書IIIについては、1992年7月1日に発効し、世界的に実施されている。
 1998年3月現在でのMARPOL73/78条約の批准状況は、附属書I及びIIは、批准国が104ヶ国、その所属する商船船腹量の合計が世界商船船腹量の93.81%、附属書IIIは、批准国が85ヶ国、その所属する商船船腹量の割合が78.24%、附属書IVは、批准国が70ヶ国、その所属する商船船腹量の割合が41.67%、及び附属書Vは、批准国が87ヶ国、その所属する商船船腹量の割合が81.55%となっている。附属書IVについては、批准国数は、条約の発効要件を満たしているものの、その所属する商船船腹量の合計がこれを満たすに至っていない。
 本事業においては、関係当局の指導のもとにIMOを中心とする海洋汚染防止の国際的動向を的確に把握し、条約の国内法への導入及び行政の円滑な運営等に寄与するため、関係当局及び関係民間団体が一体となって問題点の検討を行い、情報の連絡を密にしてIMOの関係会議に対する国内意見の統一、調整及び対応の強化の一助とした。
 この作業を実施するにあたっては、学識経験者、専門家及び関係団体からなる委員会を設置し、これらの方々の尽力により成果を得たものであり、本報告書は、平成10年度における海洋汚染防止に関する国際的動向をとりまとめたものである。
 本報告書の作成に当たり、ご協力をいただいた関係各位に厚く感謝の意を表するとともに、本報告書が海洋環境保全の一助としてお役にたてば幸いである。

 

 

 

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