(2) 減揺タンク上載タイプ
アンチロールタンクART (Anti-roll Tank) と呼ばれる減揺タンクで、通常船舶に対するものは図3.1に示すU字管型である。これは、浮体本体のRoll運動に対して、減揺タンクのタンク水運動によって発生するモーメントが位相差を持って作用するため、Roll運動に対する減揺効果が発揮される。タンク水運動の位相をRollに対して90°ずらせば、減衰モーメントとして作用することとなる。位相を調整するためには、何らかのタンク水運動に対する減衰調整機構が必要である。U字管型の場合は通常、オリフィスや邪魔板が使われる。本研究における矩形型タンクでは、プラスチック製の網状体(製品名:ヘチマロン)を用いた。
本研究で採用した矩形型タンクは、基本的にはU字管型と同じ効果を期待するものである。U字管型の場合、タンク水運動の固有周期が比較的長いのに対して、矩形型は固有周期を短周期域にすることができる。本研究の対象とする浮体は比較的短いRoll固有周期を有しているため、これに対する減揺タンクは必然的に矩形型が適することになる。