日本財団 図書館


(2) 減揺タンク上載タイプ

アンチロールタンクART (Anti-roll Tank) と呼ばれる減揺タンクで、通常船舶に対するものは図3.1に示すU字管型である。これは、浮体本体のRoll運動に対して、減揺タンクのタンク水運動によって発生するモーメントが位相差を持って作用するため、Roll運動に対する減揺効果が発揮される。タンク水運動の位相をRollに対して90°ずらせば、減衰モーメントとして作用することとなる。位相を調整するためには、何らかのタンク水運動に対する減衰調整機構が必要である。U字管型の場合は通常、オリフィスや邪魔板が使われる。本研究における矩形型タンクでは、プラスチック製の網状体(製品名:ヘチマロン)を用いた。

本研究で採用した矩形型タンクは、基本的にはU字管型と同じ効果を期待するものである。U字管型の場合、タンク水運動の固有周期が比較的長いのに対して、矩形型は固有周期を短周期域にすることができる。本研究の対象とする浮体は比較的短いRoll固有周期を有しているため、これに対する減揺タンクは必然的に矩形型が適することになる。

012-1.gif

減衰cがある場合は、共振点の振幅のピークを低くする効果を発揮する。c=0の場合のときピークは無限に大きく,c =∞でまた無限大となる。減衰cが比較的大きいときは、共振点の振幅のピークが低くなる。比較的cが小さいときは共振点ではかなり応答が小さくなり、その両側の周波数にそれぞれピークがある二重振子特有の応答を表す。これらの中間に平均的にピークが低くなる最適な減衰cの値が存在する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION