仲地 良松(なかち りょうしょう)(昭2.4.1生・沖縄県宜野座村)
多年にわたり、沖縄県の宜野座村宜野座区に永年伝えられている地域伝統芸能の保存継承と演ずる組織「二才団」の指導育成に努めるなど、民俗文化財の継承と地域文化の振興に貢献された。
1] 沖縄県の宜野座村宜野座区には、琉球王朝時代の神・あしびに廃藩零落士族によってもたらされ伝承されている「八月あしび」という一種の村芝居があり、これを地域の満15歳から満49歳までの男子で構成されている二才団が代々受け継ぎ、陰暦の8月15日に演じている。初演は明治29年の旧暦8月、宜野座区の遊び庭である平松毛で行われた。
2] 昭和18年先輩から地域の芸能を継承し、以来、八月あしびの中にある数多くの伝統芸能のうち、特に士族の踊りで全国的に伝承のある絵姿女房譚説話に材をとったとされる芸能「宜野座の京太郎(チョンダラー)」を継承し、後継者の育成指導にあたってきた。
演者である二才団組織に、配役、踊りや劇の節回しの指導、身のこなし方、太鼓(地謡)等の指導を行うとともに、毎年開催される豊年行事や宜野座村・県の芸術祭への出演、沖縄海洋博記念公園主催事業、熊本県立劇場で開催された九州地区民俗芸能大会等に積極的に協力した。同54年東京・国立劇場で開催された第30回全国民族芸能大会で上演して全国に紹介され、脚光を浴びた。
氏の多年にわたる二才団指導と郷土の文化に対する啓蒙普及活動が実を結び、60年10月「宜野座の京太郎」が沖縄県指定の無形民俗文化財に指定された。また、八月あしびも平成7年に「宜野座の十五夜アシビ」として村の指定文化財になっている。
3] 平成8年の八月あしび百周年にあたっては、八月あしび百周年記念誌編集委員会の委員長となって記念誌を発刊したほか、記念碑建立、沖縄県立郷土劇場の百周年祭等、各種記念行事の開催に大きく貢献した。限られた演目だけでなく、宜野座区に伝わる歌劇「泊阿嘉」、「伊江島ハンドー小」など他の劇部門、舞踊部門についても積極的に保存継承に努めている。
地域伝統芸能の振興に寄与する一方、昭和36年以来宜野座区の行政委員、また平成7年からは老人会長をも務めて、地域社会の発展に活躍している。
(沖縄県推薦)