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6. 高度造船CIM実現時の造船業務の質的変化

高度造船CIMが実現したとき、造船業務に起こると予想される質的変化を以下に述べる。

6.1は高度造船CIMの基盤となっている新しい情報技術で可能となることを概観し、6.2は各業務で高度造船CIMを導入し定着した際にはこのように業務が変革するであろうとか、あるいはこうありたいという姿を模索するものであり、これらを受けて6.3ではシーズとニーズの対応を明確にして情報技術の位置付けを再確認する。

 

6.1 高度造船CIMの基盤情報技術で可能となること

ここではまず、高度造船CIMの基盤となる新しい情報技術を掲げ、これらを適用して実現可能となる特徴的な事項について述べる。

高度造船CIMは、最新の情報技術を導入し、その情報技術の適用メリットを最大限に発揮させるべく設計されたシステムアーキテクチャに基づいて開発された新しい世代のシステムで、従来のCIMでは実現が困難であった造船業の高度な協業作業を効率的に支援する高度なシステム環境であり、造船業務の変革を可能とするものである。

高度造船CIMのシステム基盤となっている新情報技術は次の4つである。

1] 分散オブジェクト技術(CORBA)

2] プロダクトモデリング技術

3] プロセスモデリング技術

4] エージェント技術

これらの情報技術に基づく高度造船CIMのシステム的な全体像を2.3においてACIMリファレンスアーキテクチャとして示した。

以下に、これらの最新の情報技術を用いた高度造船CIMの特徴を具体的に説明する。

(1) 分散オブジェクト技術に基づく開放的なシステム環境

高度造船CIMの提供する環境は、最新の分散オブジェクト技術に基づいた非常に開放的なものであり、EWSやPCなど稼動機種に依存しないことはもちろん、ネットワーク上に分散した種々の市販システムや造船所で稼動している既存アプリケーションと自由な情報交換を実現し、情報・知識の共有とその高度な利用を可能とするものである。

その主な特徴は次の通りである。

(a) 稼動機種に非依存

ホスト・EWS・PCなど稼動機種やOSに依存することなく、ネットワークを介して柔軟な情報交換が可能であり、既存資産の活用とシステム構築時の高いフレキシビリティを提供する。

 

 

 

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