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2.3.9 WP-8 Simulation based on year-round and seasonal operation scenarios

 

【目的】

(1) 各WPの成果を踏まえて運航シミュレーションプログラムを構築する

(2) 砕氷商船のNSR運航シミュレーションを行い、運航採算に関するフィジビリティースタディを行う。

(3) NSR運航の経済性評価を行い、実際にNSRを利用する場合の推奨事項を、技術的・環境的・法制的及び経済的な観点から提言する。

 

【成果概要】

標記の目的を達成するため、WP8はWP1〜WP7の成果を取り入れて研究を実施した。なお、詳細については、英文のフルレポート「WP8: Simulation based on Year round and Seasonal Operation Scenarios」を末尾に付録として添付した。

 

1. 運航シミュレーションとその特徴

航路はN航路、S航路、W航路、E航路の4つの航路を用い、供試船は40,000DWT型(40BC)、25,000DWT型(25BC)と50,000DWT型(50BC)の3隻の砕氷商船を用いた。本シミュレーションは4種類、すなわち、エスコート砕氷船の妥当なタリフを仮定するための「エスコート砕氷船タリフ感度解析」、各月別の基本的な運航の傾向を調査する「月別片道1航海シミュレーション」、NSRの部分的な海域での経済性を評価する「regionalシミュレーション」、実際の航海を模擬した「往復運航シミュレーション」から構成される。本シミュレーションの特徴は、

(1) 環境データが過去30〜40年のロシアの実データを用いている。

(2) 環境データが定義される航路のセグメント長として20マイルという比較的短い距離を用いて詳細なシミュレーションを行っている。

(3) 最も先進的な砕氷船技術を用いて砕氷商船を設計し、経済性に有利なNSRを運航可能な最大サイズの砕氷商船を供試船とした。

(4) 船速と氷況の関係を分析し、ice indexという氷況から直接船速を予測するパラメータを考案すると共にシミュレーション計算を簡素化した事。また、砕氷船エスコートモードの有無の判定にice indexを用いた。

等が挙げられる。

なお、各シミュレーションのアルゴリズムについては付録英文レポートの第3章に示す。

 

2. エスコート砕氷船のタリフの感度解析

過去約30年間の平均的な氷況データを用いて、月別片道1航海シミュレーションを行い、現状のエスコート砕氷船タリフを用いた場合と、26% offのタリフを用いた場合とで、供試船がNSRとSuez回りを航行した場合の経済性をfreight costで比較した。この結果、26% offタリフを用いるとfreight costの年間平均値でNSRがSuez回りに比べて優位に立てる結果となり、本シミュレーションではこのタリフ値を採用することにした。

 

 

 

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