5.3 理想的な触媒システムの検討
本研究はアンモニア選択還元触媒と併用することを前提に行ってきた。しかしアンモニア選択還元脱硝法は技術的に最も確立されたプロセスではあるが、多くの課題も残されている。また、近年ディーゼルエンジン排ガス、コジェネレーション排ガスなどのクリーン化技術の早急な確立が求められており、アンモニアに変わる新しい還元剤、新プロセス・新触媒の開発が必要となっている。
理想的なNOx除去触媒システムとしては
1]低温域(=エンジン始動時)からNOx除去が可能
2]アンモニア、尿素等の還元剤を必要としないシステム
の条件を満たすものである。これは、港湾付近の大気汚染対策にもなり、アンモニア選択還元法の問題点である還元剤使用によるコスト増加や還元剤保管タンクのスペースの確保による制約などの問題も解決可能である。このような理想的なシステムは
1]低温でのNOx吸着機能
2]排ガス中の未燃の炭化水素類を還元剤とするNOx除去機能
を合わせ持ったNOx除去触媒システムである。
図5.3-1に示すように、NOxの吸着を利用する本システムは、最も理想的な脱硝技術の1つである排ガス中の未燃の炭化水素を用いるNOx除去触媒システムのへの応用も可能である。今後これらへの応用展開を考慮した研究開発にも十分活用できるものと考えられる。