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また、これらのマンガン-ジルコニアの形態をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察した。また、EDX(エネルギー分散型 X分析)の面分析を行い、各成分の分散状態の観察も行った。分析の結果を以下にまとめて示した。

図3.2-8〜10 :450℃焼成品のTEM写真およびEDX分析結果

図3.2-11, 12 :550℃焼成品のTEM写真

図3.2-13〜16 :450℃焼成品のTEM写真およびEDX分析結果

 

これらの結果から以下のことが明らかとなった。

 

1]450℃で焼成したサンプルには非晶質の部分以外に、ロッド状のMn2O3が存在する。

 

2]550℃で焼成したサンプルはTEM写真からも結晶格子が観測でき、別途行った電子線回折結果からもアモルファスハローリングは見られず一部ZrO2の微結晶が生成しているが粒子系は10nm前後の非常に小さな微粒子を形成している。

 

3]650℃で焼成したサンプルはZrO2の結晶化が進行しており粒子径は20nm程度まで大きくなっている。

 

(2)ジルコニア系化合物の調製方法・組成の違いによる状態の変化

 

次に、種々のジルコニア系化合物の調製方法・組成の違いによる状態の変化について検討を行った。図3.2-17〜図3.2-24にそれぞれのXRDパターンおよびTEM測定結果を示した。これらから以下のことが明らかとなった。

沈殿をAr中で一晩熟成したサンプル(Mn-Zr-O(Ar))はTEM写真結果からMnとZrがよく混合している。

沈殿を加熱熟成して調製したサンプル(Mn-Zr-O(Boil))はMnとZrが分離しており、平板状のMn酸化物が生成している。

また、NO酸化成分の組成の影響について検討を行ったために、マンガンの代りに白金を用いると(Pt(5wt%)-ZrO2)、ZrO2の粒子径が増大していることがわかる。したがってマンガンとZrO2を複合させることで粒子成長が抑制され、ZrO2の粒子径が小さく保たれていることが明らかとなった。

 

 

 

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