(4)まとめ
以上の吸着剤の評価結果を以下に示す。
1]本研究開発で求められる吸着量 = 吸着剤1cm3あたり3.3〜4.4 cm3
2]既存の有望吸着剤の吸着能力
・Cu-ZSM-5:約 10.0 cm3(273K)(1g=2cm3と仮定)
・Ba-Cu-O4.0 cm3(473〜673K)
・Mn-Zr-O(Mn:Zr=1:1):10.8 cm3(1g= 1cm3と仮定)
3]H2O共存下で期待できる吸着量
・Cu-ZSM-5: 4.0 cm3(273K)飽和吸着量
・Ba-Cu-O: 1.6 cm3(473〜673K) 昇温時の吸着量
・Mn-Zr-O(Mn:Zr=1:1):10.8 cm3(473K)飽和吸着量
既存の吸着剤では実条件下に近い条件ではBa-Cu-Oの吸着量が1.6 cm3/cm3・cat程度と見積もられるが、要求される吸着量の半分程度であり、性能向上が必要となる。また、Cu-ZSM-5、Mn-Zr-Oは、飽和吸着に関してはかなりの吸着量が見込めるため、有望であると考えられるが、温度条件、SVが異なる条件下ではどの程度有効かは不明である。
したがって、これらの吸着剤を中心に、実際の船舶での使用を模擬した吸着試験を行い、吸着性能を評価することとした。また本調査研究では、吸着剤の吸着量の向上に必要不可欠な技術開発要素である、共存ガス(特に水蒸気)の影響という観点から主に検討することとした。