1.2.2 実施項目
船舶用ディーゼルエンジンの排ガス浄化システムとして、これまでに選択還元触媒が検討されている。しかし、出港時においては触媒入口の排気ガス温度が低いため、排ガスの持つ熱で触媒を加熱する触媒システムでは、触媒温度が低すぎて機能しないため、多量の NOx が排出されてしまう。そこで本調査研究では、この問題を解決する方法として、「吸着剤-選択還元触媒」の複合化による新しい脱硝触媒の調査研究を実施した。
(1)最適触媒システムの設計(平成9年度)
1]運転状態による船舶からの排ガス組成等の変化の調査
小型内航船用ディーゼルエンジンとして、脱硝率の高い触媒の設計を行うために、種々の運航条件における排ガスの組成等を調査した。
2]求められる触媒システムの機能特性の評価
本触媒システムを設計するコンセプトとして、最適触媒システムの機能特性を抽出し、吸着剤の仕様を検討した。
3]最適触媒システムの設計
上記調査及び検討に基づいて、小型内航船用として脱硝率の高い吸着剤の設計を行うとともに、特に始動時等(低温時)の排ガス脱硝率の高いシステムとして「吸着剤-選択還元触媒」の複合化による新しい触媒システムを検討した。
(2)吸着剤の試作・評価(平成9〜10年度)
前項の調査、検討により得られた知見をもとに種々の新規吸着剤を調製し、その構造と機能評価を行い、低温時の小型内航船用排ガス浄化用として最適な性能を有する吸着剤の選定を行った。
1]吸着剤の調製方法の検討
最適触媒システムの機能特性の検討結果に基づいて、求められる機能特性を最大限に発揮するための吸着剤の調製方法について検討した。
2]吸着剤の調製
上記の合成方法の検討結果に基づいて種々の吸着剤の調製を行い、その構造及び物性の評価を行った。