民法の一部を改正する法律案等の概要
法務省民事局
第1 成年後見制度の改正
1 改正の必要性及び検討の経緯
・ 成年後見制度 現行民法=禁治産・準禁治産制度+後見・保佐制度
* 判断能力が不十分な者(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等)を保護する制度
・ 改正の必要性 高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度にする必要性
* 平成11年2月16日 法制審議会答申「民法の一部を改正する法律案等要綱」
2 法律案の概要
(1) 禁治産・準禁治産制度の改正:民法の一部を改正する法律案
ア 補助・保佐・後見の制度の導入
1] 「補助」(新設)
<対象者=軽度の痴呆・知的障害・精神障害等により判断能力が不十分な者>
* 補助人に特定の法律行為に関する代理権又は同意権・取消権を付与
2] 「保佐」(準禁治産の改正)<対象者=判断能力が著しく不十分な者>
* 保佐人に特定の法律行為に関する代理権及び一定の範囲の同意権・取消権を付与
3] 「後見」(禁治産の改正)<対象者=判断能力を欠く常況に在る者>
* 成年後見人に広範な代理権及び取消権(日常生活に関する行為を除く)を付与
(2) 後見・保佐制度の改正:民法の一部を改正する法律案
ア 法人・複数成年後見人 法人・複数の成年後見人等による成年後見事務の遂行
イ 配偶者法定後見人制度の廃止 事案に応じた最適任者の選任
ウ 身上監護 本人の身上に配慮すべき義務の明文化
エ 監督体制の充実 法人成年後見監督人の選任、保佐監督人・補助監督人制度の新設
(3) 任意後見制度の創設:任意後見契約に関する法律案
・ 任意後見契約=本人が判断能力低下後の事務に関する代理権を低下前に授権
・ 公正証書による任意後見人の指定→本人の判断能力の低下
→家庭裁判所による任意後見監督人の選任
→任意後見監督人による任意後見人の監督
(4) 戸籍記載に代わる成年後見登記制度(仮称)の創設:後見登記等に関する法律案
(5) 資格制限の見直し:民法の一部を改正する法律の整備法案
第2 公正証書遺言等の方式の改正:民法の一部を改正する法律案
・ 手話通訳又は筆談による公正証書遺言
・ 手話通訳による秘密証書遺言及び死亡危急者遺言・船舶遭難者遺言