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表紙絵から

 

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連盟会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五拾三次

その46「庄野」

 

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「おこん茶屋」跡

 

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庄野現風景

 

‐がさわらの里‐

息苦しくて目を覚ますと、右足の甲から指にかけて「雪見だいふく」のように腫れていた。何のこれしき!靴下4枚重ねのテーピングで再度石薬師にチャレンジ。そして今日はその先、庄野、亀山まで…。国道1号をひたすらヨタヨタ。雨の昨日、一昨日とは裏腹に、今日の石薬師は紅白の幟も鮮やかにやさしく迎えてくれた。境内の水子地蔵尊に若い夫婦がひっそりと拝んでいる。どのくらい休んだのだろうか、ボクは何も考えずに手だけを合わせてやおら次に歩を進めた。ヨタヨタながら不思議なことにさほど苦もなく庄野到着。「庄野」は竹やぶをバックに雨の坂道の絵、土地の人はこの竹やぶを「がさわら」と呼んでいる。この絵の場所に、明治まで「おこん茶屋」かあったとか、さあそれからか大変、茶屋跡探しにあちこちヨタヨタ。ヨタヨタ、ヨタヨタでまた半日。

 

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安藤広重絵「庄野(白雨)」

 

山道の中を風雨が襲う絵図。季節は夏、右下は民家の屋根。あわてて必死でスピードを上げているのだろう、籠に乗っている客の握り拳など、細かい描写か愉快だ。

 

 

 

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