も一切取らないため、入会金二千円と年会費三千円が唯一の運営資金。だが、これでは事務所の維持費はおろか、移送サービスに使用する車の維持費にもならないはず。その点について尋ねると、「今のところは、私と相棒のドクターのポケットマネーで何とか運営しています」とのこと。
「ただ、いつまでも今のままではやっていけませんから、今後は仕事を通じた人脈を生かして賛助法人を増やし、それを運営費に充てたいと思っています。そのためにNPO法人格の取得準備も進めていますが、現状のNPO法には税制上の優遇措置がないので、寄付金をもらいにくいのがネック。でも、何とかこの形で運営していけるよう、がんばってみたいんです」
浦上さんのような環境にある人のほとんどは自分のことで手一杯だろうが、助けを求める側もこうした会の代表を積極的に務めていくことで、普通の人では気が付きにくいサポート体制やシステムが構築される可能性が大きい。また、家の中にこもりがちで外部に届きにくい弱者の思いや生活を広めるいい機会にもなろう。浦上さんはおだやかに語る。
「筋ジスの子を持ったことによって、"この子は何のために生まれてきたのか"を自問し続けましたが、あるとき確信したんです。きっと、私に福祉の仕事をさせるために生まれてきたのだと。だからこそ、地域の絆を深め、福祉を充実させることは私の使命だと思っているんです」-。浦上さんの夢は広がる。
1997年
9月 熊本で開催された堀田理事長の講演会を聞き、会の設立を決意。
10月 財団主催のリーダー研修会に参加。
12月 財団主催のインストラクター研修会に参加。
1998年
2月 財団主催のフォローアップ研修会に参加。
3月21日 地域の公民館にて設立総会を開催。会員20名で『さわやか熊本』発足。
4月1日 『さわやか熊本』運営開始。
熊本県熊本市春日に本拠地を置く『さわやか熊本』は、ふれあい社会づくりをを実現させるために生まれた会員制の市民互助型団体。会では日常生活に何らかの援助を必要とする人(利用会員)へ、福祉に理解と情熱を持ったサービスを提供する人(協力会員)や弁護が、有償で家事や介護などを手伝う。活動内容は買い物・炊事・洗濯・掃除・話し相手などの家事援助と、食事・通院・送迎・車イス介助などの介助介護が中心。組織は正会員と賛助会員からなり、正会員は入会金2000円と年会費3000円を拠出(1人の会員が利用会員または協力会員になることもできる)。利用会員になると、毎年度初めに計20枚の「ふれあい切符」(30分のサービスにつき1枚)がもらえる(不足した場合は、追加でその都度もらうことも可)。また協力会員は、交通費実費分のみ現金で受け取り、奉仕時間は点数を積み立て(時間預託制)しておき、必要なときに引き出して、サービスを受けることができるという仕組み。賛助会員は年会費個人1口3000円、団体同5000円、法人同10000円以上。