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表紙絵から

 

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連盟、現代児童会会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五拾三次

その38「藤川」

 

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-旧街道-

藤川は「棒鼻(ぼうばな)図」である。棒鼻とは宿場の出入口に宿を示すクイを立てたことにはじまるらしい。絵には御馬行列を出迎える宿場役人が描かれている。ボクは、たった1人の大名行列気分でウキウキと歩いた。しかし新旧の家がミックスしていて出入口がさっばりわからない。駐在所の奥さんに尋ねるが、ただただ平身低頭するのみでこれまたわからず、「ご苦労さまでございます」の声を背にますます大名気分。

困ったナ、とにかく何かを撮らねば。絵になりそうな隣の脇本陣跡をカメラに…。ちょうど通りかかったおばあさんに尋ねると先の常夜燈を指すではないか。そして、この辺の昔のことを知りたければ、もっと年寄りに聞かなければダメだという。このおばあさん、どう見ても80を越えて見えるのだが…。

 

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※現在、脇本陣跡が資料館になっている。

 

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安藤広重絵「藤川」

 

広重がこのシリーズを出版するきっかけは、幕府が天皇に神馬を献上する八朔(はっさく)御馬献進の旅に随行したことだとか。これはその八朔御馬献進行列の図。左端、緊張した宿場役人の脇でじゃれ合う仔犬がかわいらしい。

 

 

 

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