開会式
主催者挨拶
日本保育協会
基調講演
異文化理解と保育
千石 保(財団法人日本青少年研究所長)
1. 日本的文化と異文化
一人のアメリカ人母親が、高校生の娘を連れて来た。その女子高生が、ルーズソックス、ケイタイ、プリクラ、ポケベルなどの女子高生文化に埋没する。
誰れ誰れさんもしている、という娘と、高校生にケイタイは不要というアメリカ母親は、結局のところ、日本文化と戦っていることを悟る。
個人主義と集団主義の葛藤を考える。
2. 3か月児と母親の関係、日米比較
生後3か月児と母親の接触は、文化差を示して余りがある。日本の乳幼児は、自分の延長として母親をみる。アメリカの乳幼児は、自分と違った別個の人格として母親をみる。
アメリカでは生後間もなく、母親と別室寝をするが、日本では同室寝である。この体験は、個人と他人との関係を決定的なものとして後々に影響する。
3. 自我意識
自分の中に、もう一人の自分がいることは、常識として認められている。もう一人の自分は、第三者のように他人の眼をもって、自分を見る。
他人の眼は、社会の眼でもある。この他人の眼は、諸外国では「第三者の審判」とでもいうべき、規範であるか。それとも、同じ風俗やファッションとして真似るべきものであるかで、日本文化と異文化は大きく異なるように考えられる。
このような視点は、個人主義という自分本位の考えに、「神」という倫理をもち込んだものかどうかを区別するようになる。個人主義と集団主義は、エゴイズムとどう対決するかで異なるといえる。