第4分科会
心の健康と食生活
司会者 坂本紀美子(神奈川県・立正保育園長)
提案者 成田豊子(東京都・子供の家愛育保育園長)
助言者 水野清子(日本子ども家庭総合研究所栄養担当部長)
提案要旨
心の健康と食生活
成田豊子(東京都・子供の家愛育保育園長)
今の子どもは、価値観が大きく変わっていく時代に生まれ育っています。
白紙の状態で生まれた子どもたちが、様々な情報を受け止めて、保育や、教育され、他人との関わりのなかで学びながら、自分自身の価値観をつくりあげていきます。昔のように親や周囲のなかで自然に育つ時代と比べると、今は、子どもを自然に放っておくだけでは、非常に心配なことが多くなっています。
ここ数年、少年による悲しい出来事が続出し、そのたびに少年の家庭生活や育った環境が話題になったり、問題視されています。
子どもは、家庭や親以外の保育者(施設や祖父母等)に育てられます。
保育所保育指針によると、「保育所における保育の基本は、家庭や地域社会と連携を密にして家庭養育の補完を行い、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、自己を十分に発揮しながら活動できるようにすることにより、健全な心身の発達を図るところにある」としています。
社会的な問題を起こした子どもたちは、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境が与えられたのでしょうか。現代の社会を見るとき、今の子どもには、体より心の問題を多く抱えているのではないでしょうか。
「幼児期からの心の教育のあり方」が検討され、以前より増して「子どもの心」に関心が高まっています。「心の教育」や、「健康な心をつくる」ために今、社会全体、家庭、家族、保育園、学校が具体的になすべきことを真剣に考える時がきているように思われます。
情緒の安定は、精神、心理的な要因とのかかわりが多く、子どもの生活の中では、食べることが中心で、人間としての心身の発育、発達がなされます。
食事は人の感情や感性を育て、子どもの健全育成の基本となります。
現代っ子は「食」の面では飽食時代、グルメ時代といわれ、食卓を家族団らんで囲むことが少なくなり、孤食や偏った食事となり、食卓が、加工食品やインスタント食品が増え、子どもの食生活にさまざまな問題を生み出しています。
食の乱れが心の乱れ、非行に通じているのではないでしょうか。
また家庭での愛情不足の育て方が、成長ホルモンの分泌不良や、発育障害を起こし、母親の調理技術の低下や、レトルト食品を電子レンジでチーンをして容器のまま出す夕食など生活様式の変化は、子どもの心の発達に影響はないのでしょうか。人、物、場が相互に関連し合って子どもの心を育んでいきます。現代の食環境のなかで、子どもの心を健康に育てるために、保育園や家庭における子どもの食生活のあり方を討論していただくよう提案します。