提案要旨
地域に根ざした保健活動めざして
江越貴美子(中野区立沼袋保育園看護婦)
中野区沼袋の駅のそばという大変便利な位置に建つ沼袋保育園は、地下駐輪場、高齢者会館、職員住宅を伴う複合施設として改築され、平成6年7月に開園した。
開園にあたり、複合施設として何か地域とのつながりを深めるためにできることはないか職員間で意見を出し合った。職員集団としては未成熟であるため、なるべく無理なくすぐに実践できるものを検討している時、園の前によく立ち止まって中を見ている地域の親子が目にとまり保育参加が提案された。
実際に行うに当たって、職員の負担になるようなものでは長続きしないので、親子で普段の保育の中に入って一緒に遊んでもらい、親しんでもらう、希望者は身体測定を実施し育児相談に応じていくこと、また職員も気負わず自然体で受け入れていくことを確認した。
実際スタートすればいろいろな問題が起こってくるが、一つ一つの問題点を職員全員で納得できるように話し合いをしていくことが大切である。
保育園全体が来園者を気持ち良く受け入れることでコミュニケーションも生まれる。何気ない会話の中から相談につながったり、疑問や不安を話し合っていく中で仲間づくりもできる。そして、子どもは園の中で楽しく遊んでいる。
高齢化、少子化の時代を迎えて、今年度児童福祉法が改正となった。また保健所法も地域保健法と改正され地域保健の強化が図られている。福祉の考え方が変わりつつあり、地域ぐるみの育児支援が必要となる。そして、子育て支援として保育園の社会的役割がますます重要になってくる。
この時代の背景をうけて、21世紀の子どもたちが夢と希望をもって、安全で健康に育っために、より良い生活環境を整えていく必要がある。そのためには、地域の子育て拠点である保育園は、地域にもっと目を向け機能をしていくことが大切である。
育児していく中で、母親の一番の悩みは健康に関することが多い。保育園での保健活動を地域へ広げ、育児の悩みや不安に耳を傾け受け止めていく。そして、地域に根ざした保健活動を提供できるようにしていきたい。