九州横断科学探検隊
熊本県立天草青年の家 専門職員 福田 岩雄
1 はじめに
「ゆとり」と「生きる力」という言葉は、教育界に定着してきたようである。しかし、子どもたちを取り巻く現状は厳しく、次代を担う彼らに、今何をしてやれるかということは、現代社会の大きな課題である。
そのような中で、青少年の豊かな感性・運しく「生きる力」を育成するために“青少年の野外教育推進事業”が、平成9年度から文部省の補助事業として実施されている。
本県においては、平成9年度に「天草発見の旅」、平成10年度は「九州横断科学探検隊」を実施してきた。
以下、本年度の事業について、その実践を述べてみたい。
2 「九州横断科学探検隊」
現代の青少年は、物質的に豊かで便利であるが故に、豊かな感性・逞しさといった、いわゆる「生きる力が失われつつある。
また、自然の事物・現象に対して関心が薄れる、いわゆる「理科離れ」も深刻化している。
そこで、このような青少年の実態を踏まえ、本年度は、地形構成上重要なポイントを占める中央構造線が位置する九州の中央を横断する中で、さまざまな科学的体験活動を通して、科学や環境についての興味・関心を高めるとともに、集団生活により、逞しく生きていく「生きる力」を育成するために「九州横断科学探検隊」を計画した。
3 事業の実際
(1)企画・準備
事業内容については、事業の趣旨と実施要綱を十分検討し、企画・立案をした。
具体的には次のとおりである。
1] 実行委員会
事業に関わる各分野の有識者により構成し、全体計画の策定や成果の評価を行う。
2] 指導者研修及び事前研修
事業概要の周知や意欲づけをし、指導者、参加者相互の親睦を図る。
3] 野外教室
青少年のための野外教育推進月間に合わせて、5泊6日の自然科学体験プログラムを実施する。
4] 成果の普及
発表会を実施するとともに報告書を作成し、事業の普及・啓発を図る。
なお、計画に当たっては、事前に現地調査、講師選定等を行い、事業の充実、安全面等に十分配慮した。
(2)定員・スタッフ構成
移動方法や健康・安全面等を考慮して参加定員を小・中学生50人とした。
スタッフは、救護スタッフ1人、チーフリーダー1人、参加者を10人ずつの5班編成とし、各班にリーダー1人、青年の家職員5人の合計12人で編成した。