財団法人アジア太平洋観光交流センター
理事長 山下哲郎
財団法人アジア太平洋観光交流センター(APTEC)は、世界観光機関(WTO)の支援財団であるとともに、関西を中心とする地域観光の振興を財団事業の大きな柱としております。
地域観光の振興については、各ブロック、府県レベル、市町村レベルでそれぞれ振興戦略を策定され、これに基づいて、各種の振興策が実施されていると伺っております。
しかしながら、各地域観光の振興は、各地域の特色、とりわけ観光シーズ、歴史、環境など大きな違いがあり、一律に論じることができない性質のものであり、とりわけそれぞれの地域においては、振興のあり方や個々のかかえる悩みというのは、極めて多様であり、かつ深いものがございます。
このような認識のもので私共の財団では、本年度より、より地域に密着し、講師の方々と参加者の双方向の議論ができるワークショップという形態での事業に取り組むことにいたしました。
これは、全体会議を経て、極めて限られた人数による分科会を採用することにより、個々の参加者の問題意識と講師との議論、参加者相互の議論により、より密度の濃い討議をすることで、具体的な問題の解決の一助になるよう企画したものであります。
初年度の1998年は、日本の観光の原点ともいう「伊勢神宮」を有する三重県、また、地域振興のモデルケースとなっている「黒壁」を演出した長浜市を持つ滋賀県のご協力をいただき、この2ヶ所で開催いたしました。当財団としては、はじめての試みであり、今後改善していく余地が多々あるかと存じますが、より具体的な、より地域に密着した観光振興に資するべく、この事業を充実させていきたいと思います。
本事業の実施にあたってご協力をいただいた、スペイン政府観光局、中国政府観光局並びに三重県、滋賀県及び各講師の先生方に厚くお礼申し上げます。
最後に、本事業は日本財団の補助により実施されたものであり、同財団に対し、深謝するものです。