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■ 東アジア・太平洋地域:東アジア・太平洋地域の国際観光は近年大きな伸びを示して来た。しかし、1997年にはいくつかの国が貿易収支の悪化などに端を発した金融・通貨危機に直面した。多くの国の通貨が上昇する米ドルとリンクしていたため事態が悪化した。最もひどかったのがタイであるが、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど他の国も影響を受けた。東アジア・太平洋地域の域内および域外からの旅行需要はこのような状況の影響を大きく受け、同地域の1997年の国際観光は国際観光客到着数、国際観光収入とも微増に止まった。このような中で、中国の国際観光収入は対前年比18.4%増と大幅増を記録した。

 

■ 北東アジアは、国際観光客到着数が対前年比わずか0.75%増の4,980万人、国際観光収入が同1.2%増の380億ドルと振るわず、1989年以来最悪の記録となった。北東アジア地域への全到着数の47.7%を占める中国への到着数が対前年比4.4%増に止まったことがこの主な原因である。また、香港特別行政区は、到着数が対前年130万人減(11.1%減)、観光収入が16億ドル減を記録した。日本は10%増の420万人強を記録した。これは、円安と韓国を除くアジア諸国の高い経済成長に負うところが大きい。

 

■ 東南アジアの国際観光も金融危機の影響をもろに受けた。1997年の国際観光客到着数は対前年比わずか1.2%増の3,130万人に止まった。これは1991年以来最悪の記録である。国際観光収入は対前年比2.2%増の300億ドル強であった。

 

■ オセアニア、オーストラリア、ニュージーランドは、当初予測よりは率は低いが国際観光客到着数、国際観光収入とも前年より増えた。オーストラリアは金融危機の影響で到着数の半数を占めるアジアからの旅行者が減ったため打撃を受けた。アジア各国通貨の対豪ドル下落により、アジアからの旅行者にとってオーストラリアは費用の高い国となった。太平洋諸国は、日本などアジア諸国とアジア・太平洋地域以外からの旅行者が増えたため、比較的順調に伸びた。

 

東アジア・太平洋地域(修正後暫定値)

EAST ASIA/PACIFIC-REVISED ESTIMATES

 

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出典:世界観光機関 (WTO)Source:World Tourism Organization(WTO)

 

 

 

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