(2) 旅行会社・組織
旅行会社をまとめる組織として、シリアにはSATTA(Syirian Association of Tourist & Travel Agents)がある。1994年12月31日発行のSATTA Directoryによれば、1963年、法令第755により当協会が設立され、事務局をダマスカスに置いている。SATTAのメンバーに登録されることなしにはシリア内での営業活動ができないことが法によって義務付けられている。現在登録されているのは567社に昇る。
SATTAの機能としては、
・メンバー各社のサービス向上
・関係業法の遵守の指導・徹底
・業界内のトラブル処理
・国際観光振興のための諸活動
等となちている。特に、シリアにおいては予算面やノウハウの少ない観光省に変わって国際観光振興やマーケティングの分野で中心的な役割が期待される。
567社の内、4社は政府出資のジョイント・ベンチャー企業となっている。それぞれ旅行の斡旋、航空券の手配、外国人旅客のインバウンド業務等旅行会社としての基本的業務を行っているほか、旅行者の手足となるバス運送やホテル等宿泊施設の運営等根幹の事業に携わっている。
数あるツアーオペレーターのなかでも、日本の旅行社と強いパイプをもって日本人旅行者を扱っているのは2〜3社に過ぎない。特に近年、ヨルダンのアンマンと日本の関西国際空港を結ぶ季節チャーター便を利用した日本・ヨルダン・シリア3国間のパッケージツアーを扱うシリアの旅行社がシリアにおける日本人ツアーを積極的に取り込んでいる。
(3) 観光ガイド
シリア内での観光ガイドは質、量ともに少なく、特に日本語を含む特殊言語に至っては、殆どいない状態である。観光省によれば、ライセンスを取得して観光省にガイド登録されているのはおよそ1,000人。このうち日常的に業務を行っているのは270人程度であるという。かつ経験と知識が豊富なものはその中でも半数ほどである。
図4-13は言語別のガイド数を示している。日本語のガイドは極端に少ない。日本の大手旅行社の話しによると、シリアでは英語のガイドを付け、観光地等での案内をいったん添乗員が日本語に訳して説明しているのが現状で、添乗員の英語力もきることながらその煩わしさと冗長さの為に見物の魅力が半減するのだという。この辺も日本からの観光客の誘致を伸張させるために、改善する課題の一つとなろうか。