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炎暑、乾燥等気象条件が厳しく、交通、宿泊、飲食等もままならない旅行であるにもかかわらず、シルクロードへの憧れと興味から千里の道をも遠しとしない高齢者の熱意に打たれるとともにくシルクロードが日本人に対して観光資源として有している意義の深さや重みを痛感させられました。

今回トルコ及びシリアを訪問して、中国から中央アジアを経て、トルコ、シリアに至るシルクロード全体を一つの魅力あるコンセプトのもとに位置づけることができないか考えました。そこで散々考えた末に「飛天の舞うシルクロードの旅」というコンセプトを思いつきました。ギリシャ・ローマ文化の中で生まれたキューピッド、ニケ等の羽を持つ人物像が東に行くに従って中国では羽根を失い、最後は日本の天女像になっているということから考えついたわけです。本調査のリーダーをしていただいている樋口先生に伺い、相談にのっていただきました。

先生はシルクロード学の第一人者であり、また、飛天に関する論文も書いておられます。先生は私の相談したコンセプトをシルクロード全体のコンセプトとして差し支えないが、加えて、「三蔵法師とアレクサンダ二大王の出会う道」としてはどうかというご示唆をいただきました。

東のシルクロードは玄奘三蔵が仏典を求めてガンダーラを経てインドに行き、西からはアレクサンダー大王がトルコ、ペルシャを経てガンダーラまで攻め込んでおり、時代は異なるものの、2人の足跡を辿れば東西のシルクロードはつながることとなります。先生からは本当に素晴らしいアドバイスをいただいた訳で、今後のシルクロードの調査もこのコンセプトを念頭に置きながら推進していければと考えています。

 

 

 

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