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「心を傾けて聴く」を基本に

 

「大阪被害者相談室で、電話相談のボランティア活動を始めてから3年になりました。この活動を行う動機は、阪神大震災の“こころのケア”活動に参加したことがきっかけとなりました。被災者とのおつきあいから、今回はもう少し幅の広い被害者支援となりました。

活動に参加する前から、多くの研修に参加する機会がありました。研修の中で、被害者、遺族の方から話を聞くことがありました。あまりにも生々しく重い話に圧倒されてしまいました。被害のつらさだけではなく、警察、裁判所、マスコミ、あげくは生命保険でまた傷つくこと。被害者の立場に身を置かないと想像もできないことが次々降り懸かってくること。やりきれない思いになりました。

ある被害者は、『大変でしたね』と言って慰められると、そんなものじゃないと腹が立つと話されていました。私自身、電話相談の中で、『大変でしたね』と相槌を打つことが多くありました。重い話に言葉に詰まり、返す言葉が見つからず、とにかく『大変でしたね』と返答する事で私自身が楽になるような感じがありました。ついつい相談員は楽な方に流れていくことを身をもって体験しました。このあたりが被害者の声に耳を傾けることの難しさです。受話器を通して人と人がつながっている関係が大事なことだと思います。

これまで相談員のメンバーに支えられ励まされて活動を続けることができました。ここに感謝しながら、新たにひとつの電話を大切に活動を続けていこうと思います。」 (M.T.)

 

「被害者相談室で電話相談活動を始めてもう2年になります。多くの相談者は、電話の向こうから長い沈黙の後、重い内容をポツリポツリと話して下さいます。それは、性被害、傷害による被害、交通事故で愛する家族を亡くされた方などからです。

 

 

 

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