日本財団 図書館


こうした時代の変化に対応するには、やはりまず町職員はもとより、町民の意識改革をどう進めていったらいいのかというのが、私は最大の課題ではないだろうかと考えております。従って、機会がありますごとに、町民の方々に対しましては、国が何とかしてくれるといったような親方日の丸方式はもう終わりましたよ、現在の町の財政事情なんかを説明いたしまして、特に福祉や環境といった行政分野に町民の参加・協力を呼びかけておるのが現状であります。

もう一点心配している事がございますのは、地方分権というのは、地方が自立することであると先程知事さんもおっしゃられました。私達自立する為には、やはり何と申しましても一定の財源が必要になって参ります。最近、中央における行財政改革論の中で、公共事業の地方切り捨て論、これが出ております。私はこのことについて非常に心配しておりますが、私達は町に4車線の道路をつくってくれといっているのでは無いのでございまして、今だに私共の町民生活の使用道路を見てみますと、1車線300mおきに待避所がある、こういう道路が大半でございます。これを何とか2車線の道路にしてほしいと要望しているのが実態でございまして、地方が賛沢を言うなという都市派の方々のご意見に対してはいささか反発を感じるわけでございます。こういう自立する為の最小の基盤整備もやれずに、これから自立しなさいと言われましても、我々は途方に暮れるのが現状でございます。

都市部では、交通インフラもJRや、或いは私鉄・地下鉄、更にはバス路線と整備されております。私達の脇町では、町内唯一の公共バス路線もこの度赤字を理由に、本年度一杯で廃止される訳でございます。そうなりますとマイカー通勤・通学、そして老人達はタクシーで病院に通院しなければならないという非常に高い交通コストの負担を強いられる訳でございます。生活基盤が整備された都市部では、ちょうど有名大学を卒業いたしましてこれから一流商社なんかに入って、そして自立しようという状況だろうと思います。これと対比しまして私達の町ではやっと高校を卒業して、これから自立しなさいというようなものだろうと思います。更に過疎山村は中学校卒業したばかりで自立が求められますと、これからどうやって食っていったらいいんだろうかと、戸惑っておるのが実態ではなかろうかと思います。我々は有名大学とは申しません。せめて専門学校で手に職をつけてから自立を求めて欲しいのです。即ち地域が努力すれば活性化が期待できる最低条件の公共基盤整備を進められるような財源措置、これを是非お願いしたいわけでございます。

その為には、従来人口とか面積、或いは産業といった基準、いわばモノ作り時代の物差しで事業評価をして参ったわけでございますが、そういったところから「田舎は賛沢だ」という言葉も出てくるわけでございますが、これからは住民生活の質をいかに補償するかという新しい基準、そういった物差しで一つ事業評価をするような、そういう方法に切り替えて頂きたいというふうに考えております。以上でございます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION