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調査研究の目的

 

渋海川流域の仙田地区は、過疎が著しく、少子・超高齢社会に突入している。閉村になった集落、家数が往時の10-20パーセントほどまでに減ってしまった集落もある。山間の豪雪地帯であるこの地域は積雪期間が半年近くにも及ぶ。現在のこのような社会、自然条件のなかで、創意工夫して厳しい環境に打ち勝とうとして、今も強く生き活動している人々がいる。これらの方々に勇気づけられてわれわれは調査を進めている。

今回の調査研究の目的は、この地域の民家と集落、その歴史環境の調査を通して、地域の人々の暮らしを知り、住民の側から発想するまちづくりを考えることであり、その基礎的研究を積み重ねることにある。おもにつぎにあげる諸点について調査し、この調査成果に基づいて、文化遺産・自然遺産・文化景観遺産を生かしたまちづくりむらづくり計画を提案する。

1)民家と集落とその環境、そして多くある空家の実態を知る

2)調査を通じて、住民が自分のまちについてどう考えて暮らしているかを知る

3)厳しい自然環境のなかで暮らしてきた先人たちの智恵と歴史に学ぶ

それを後世にどう伝えていくか

4)先人たちが築いてきた生活の智恵と歴史をどう生かして、まちづくりをどう進めていくか

この研究の成果目標の一つは、世界一の豪雪地仙田地区の歴史的集落を文化財、文化的景観として評価し、保存、活用しながら生き活きしたまちづくりを進めることにある。今ただちに、このまちづくりを進めて遅すぎても早すぎることはない。草々に進めないとこの豪雪地の歴史的集落の景観や人々の智恵は世の記憶から姿を消してしまうであろう。

調査研究の対象地域は、川西町仙田地区の全集落である。この調査に直接関連する川西町内のほかの集落および周辺市町村も必要に応じて調査する。このほか仙田地区の条件である豪雪地、過疎地について全国的に比較の参考資料とする。調査研究は、現地での観察を重要視しておこなう。なお、川西町は仙田地区を対象として、平成9年から13年までの5年計画で「中山間地域総合整備事業(生活環境型)」を実施している。今回の事業は、対象としている地区が重なっており、この地域の活性化を重要なテーマとしている点にも共通性があるので、両者の間に関係する部分が少なからずある。

 

 

 

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