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(3)松江国際交流拠点の基本方針

 

松江の国際交流

・ 小泉八雲によってこよなく愛され、広く世界へ紹介されたように、その古く懐かしい日本の面影を残す城下町の佇まいは、日本人はもとより外国人から見ても充分に魅力があり、年間2万人もの外国人がこの地を訪れている。

この魅力は、単に見かけだけのものではなく、歴史の伝えてきた伝統文化が現代の日常生活の中に溶け込み、住民の人情や随所で生活のいぶきが伝わってくる町並み全体の雰囲気からくるものであり、八雲の見いだした<日本らしさ>はこの点にあるものと思われる。

 

・ 国際交流の歴史においても、前述したように、昭和26年、国際文化観光都市の指定を受けたことに始まり、国際観光モデル地区指定(昭和62年)、国際会議観光都市指定(平成6年)など、国内においても比較的早くから国際化を視野に入れた基盤づくりが成され、都市間での友好・姉妹都市提携や、各種研修会など実質的な交流活動も活発に行われており、受け入れ体制が比較的整っている地域と言える。

つまり、国際交流を広めていくうえで必要な<日本らしい>観光的な素材や、経験・人材面が豊かであり、今後も、より一層一般外国人観光客を受け入れ、さまざまな体験メニューを通して交流していく素地は、充分にあると思われる。

 

国際交流拠点での交流の形態

・ 一方、国際交流の基本である人と人との交わりをサポートしていくうえでは、松江市民をはじめ周辺地域住民の協力が不可欠であり、当国際交流拠点は、こうした-

地域住民の参加を促し、さまざまな交流活動を生みだす運営拠点

-として、位置づける必要がある。

こうした点で、松江は-八雲が受け入れ、愛着心をもって世界へ発信したように-国際交流を生みだす可能性を秘めた土壌が育まれ続けていると言える。

 

・ こうした背景の中で、国際交流を促進していくためには、日本人観光客を積極的に誘致し、地域住民と国内観光客との交流-交流体験メニューの提供やボランティアガイドの紹介など-を含めた観光活動を強化していくことが重要である。これは、国内観光客の滞在化の促進にもつながるものであり、地域住民と外国人観光客との交流を促進するうえでの下地づくりとなるものである。

 

・ こうした地域住民と国内観光客、地域住民と外国人観光客との交流促進は、同時に、国内観光客と外国人観光客、国内観光客同士、外国人観光客同士などといった観光客相互の交流-フェロートラベラー-も、生まれる可能性に繋がるものであり、当国際交流拠点での重要な役割となるものである。

 

・ 当国際交流拠点は、このように、国際交流の枠にとらわれないさまざまな形態の交流を支援し、多くの体験メニューを通して交流活動の活性化を図り、魅力ある地域づくりを目標としていくものである。

 

 

 

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