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5. 国際交流の状況

 

・ 松江市の国際交流の歴史は、明治23(1890)年、文豪ラフカディオ・ハーンが訪れたことに始まったと言える。

松江中学の教師として松江に赴任したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、城下町の面影を色濃く残す「水の都」松江や出雲の自然・風土を愛し、その感動を著書「知られぬ日本の面影」等を通して、広く欧米へ紹介したことで知られる。

当時の日本の生活の様子が克明に、しかも好意的な視点で紹介された文献はそれまで無く、八雲によって日本の面影の残る城下町松江が初めて世界へ発信されたと言える。それは、単に受け入れるだけでなく、愛着心をもって発信されたという意味において、意義深いものであった。

 

・ その後、昭和26(1951)年3月に国際文化観光都市に指定されて以来、島根県を中心に実質的な国際交流活動が始まり、昭和62年10月、「松江・出雲国際観光モデル地区」に指定され、初めての英文観光ガイドブック「ALONG THE SANIN」も出版されるなど受け入れ体制が強化されるに至った。(昭和63年3月)

 

・ 外国との都市間交流においても、小泉八雲の出生地であるアイルランド ダブリン市をはじめ、アメリカ合衆国ニューオーリンズ市、更には環日本海交流の要となる北東アジア地域などとの交流にも着手し、中国 銀川(インチョワン)市・吉林(チーリン)市・杭州(ハンチョウ)市とそれぞれ友好交流を続けている。

 

・ 小泉八雲に因んだ国際交流という点では、平成2(1990)年8月、八雲が松江を訪れてから100年を記念しての「小泉八雲賞」(文学賞)を創設したことが挙げられる。この顕彰制度は、一定の成果を得たとして平成7年度で募集を終了し、新たな文化振興事業への転換を検討しているところであるが、国際交流事業の一貫として、松江市民のみならず、広く海外へも視点を向けた幅広い展開としていくことが期待される。

 

・ 一方、市内での国際交流事業の受け入れ策として、「松江市国際交流会館」(平成4年5月)や「くにびきメッセ」(平成5年10月)など国際的なコンベンション施設の整備にも着手し、平成6(1994)年10月に国際会議観光都市の指定を受け、以後、友好・交流都市を中心とした数々のイベントを積極的に開催しているところである。

 

・ また、市民レベルでの国際交流促進のために、その拠点となるべく、自主的活動を実施する民間組織として、平成7年度末に、(財)松江市国際交流協会が設立され、松江日本語日本文化夏季講座・各種ボランティアの養成・国際交流会館の運営・留学生支援事業など、さまざまな活動が手掛けられている。

 

 

 

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