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通常は、赤道付近で東よりの貿易風が吹いており、海面近くの海水が引きずられて西に移動する即ち西向きの海流が発生しています。ところが、地球の自転の影響(コリオリ)力で北半球側では進行方向に対して右側に曲がるような力が発生し、北に向かう流れが生じます。
南半球ではこれと逆に南向きの流れが生じる結果、赤道上の海面付近では水が不足しそれらを補うために海の深いところから海面に海水が湧き上がる「湧昇」という現象が生じ、水温が低くなっています。

また南米沿岸では南極方面から寒流(フンボルト海流またはペルー海流)が入って来ますし、加えて陸から海に向かって吹く南東の風のため海流が北西に曲げられ、離岸流が発生し、沿岸湧昇が生じます。南米でかたくち鰯が大量に捕れるのはこの海域です。

赤道付近では日射により暖められた海面近くの海水が東よりの貿易風に押されて西太平洋に蓄まり、海面がインドネシアではペルーに比べて数十センチ高くなります。この状況を「暖水の蓄積」といいます。海面が28度以上になると蒸発が盛んになり、上昇気流が発生してこの地域では大量の雨が降ります。この上昇気流は圏界面にぶつかって東西に分かれ、一部が西風になって東太平洋の海面水温の低いところで乾いた下降気流となって吹き下りてくるため、ペルーでは砂漠に見られるように乾燥した気候になります。この下降流が下部対流圏で東風となりインドネシア付近に戻ります。このような循環を「ウォーカー循環」と呼んでいます。
通常は、この循環により東よりの貿易風が吹いていますが、何らかの原因で貿易風が弱まってしまうと、常に貿易風によって押されている支えが無くなってしまうので西太平洋に蓄まっていた暖水が東にひろがり東太平洋の海面付近をおおうので、ペルー沖で海の深いところから湧き上がっていた低温の海水が海面へ上がってくることが出来ず、赤道付近の太平洋全体が一様に水温の高い状態になります。そうすると、上昇気流の発生しやすい場所は、日付変更線あるにはその東に移動し、インドネシア一帯は下降気流の場になるため乾燥した気候になります。これによって東よりの貿易風はますます弱まり、西向きの海流も弱められてしまいます。ペルー沖では「湧昇」という現象は弱められ、海面水温の高い状態が持続します。この状態を「エルニーニョ現象」といい、いつも雨が降っているところで降らなくなり、降らない地域で降るようになります。これが異常天候の原因になっています。このように「エルニーニョ現象」は太平洋で起きる現象ですが、全世界の天候に影響を及ぼしています。

地球上では、ニューギニアからインドネシア、アフリカ中央部、アマゾンなどが、普段は上昇気流の場で大量な雨が降っているのに対し、南米の太平洋岸、アフリカの東部等は下降気流の場になって砂漠になっています。これがペルー沖の海面水温が高くなって、「エルニーニョ現象」が発生すると、熱帯地方を中心をする世界の大気循環が乱されてしまい、インドネシアが干ばつになるだけでなく、ケニアやタンザニア、ソマリアで大雨が降り、逆にアマゾンなどでは雨が減るという「エルニーニョ現象」特有の影響がはっきりと現れます。

また、間接的な影響としては、太平洋の真ん中付近に上昇気流の場が発生し、その上空には高気圧ができることによって、「ロスビー波」という波動が生じ、中高緯度まで影響が現れてきます。アリューシャン列島東方で気圧が下がり、ロッキー付近で気圧が上がることによってアメリカの東海岸では厳しい寒波に襲われたり、日本では低気圧の発達する位置が東へずれるため冬型が持続せず、暖冬になりやすいなどの天候異変が現れます。

 

 

 

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