4. 実験データの分析
4.1 実証実験データの分析
今回の実証実験では参加モニターの数が十分ではなく、その意味では今後に大きな課題を残した。本節では実証実験データの分析として、以下の2点について検討する。
1] 登録モニターの数が期待値を大きく下回った。
2] モニター1人当たりの平均システム利用日数が1.5日に留まった。
4.1.1 登録モニター数
今回の実証実験では事前広報活動による一般参加と、モニター事前登録制とを併用したが、実際の参加は事前登録モニターがほとんどであったと思われる。
モニター募集状況や参加モニターの状況は、表2-3-3〜表2-3-5に示した通りであるが、登録モニターの数が期待値を大きく下回った理由は以下のように考えられる。
1] 相対的に公共交通機関のサービスレベルの低い地方都市においては、日常行動のあらゆる場面でマイカーを利用することが当たり前といった意識が強い。
2] 「パークアンドバスライド(P&BR)」というTDM施策に対する認知度が必ずしも高くなく、その効果等に対する期待も低い。
3] 事前に提示されたバス運行内容(始終発時刻、運行間隔、所要時間等)のサービスレベルでは必ずしも十分でなく、通勤や就業及びプライベートの行動で制約を受ける。
4] Aルートの場合、多くのマイカー通勤者の利用道路である「新新バイパス」とシステムバス運行路線(国道113号)とが異なっていた。
(アンケート調査結果でも、新新バイパスルートを要望する声が少なからずあった。)
5] 実証実験の時期は既に初冬で、降雨時や降雪時にはマイカー通勤にはない、辛い乗り換えが想定された。
6] マイカー通勤者は月極契約で駐車場を確保しているのが一般的であるため、たとえシステム駐車場代やシステムバス代が無料でも、それだけでシステム移行へのインセンティブにはなりづらい。
7] 民間事業所通勤者へのモニター参加要請は、各企業の所管課を窓口として行った。しかし、多くの事業所でマイカー通勤を認めていない建前があるため、モニター登録を会社として推奨できない事情があり、結果として民間事業所従業員のモニター登録は極めて低調であった。